HOME8.温暖化・気候変動 |米共和党の若手下院議員ら17人。気候変動対策の尊重を求める決議案を提出。トランプ大統領の「反温暖化スタンス」を批判(RIEF) |

米共和党の若手下院議員ら17人。気候変動対策の尊重を求める決議案を提出。トランプ大統領の「反温暖化スタンス」を批判(RIEF)

2017-04-05 22:43:32

republicanキャプチャ

 

  トランプ米大統領が気候変動政策を大転換しつつあるが、思わぬ“反逆”の火の手があがった。若手を中心とする共和党の17人の下院議員が、気候変動対策の手を緩めないよう求める決議案を下院に提出したからだ。

 

 決議案は「Republican Climate Resolution(共和党気候決意):H.RES. 139」。同案はまず、「環境を守り、保護し、適切に対応するとともに、環境を市場要因として考慮し、科学と定量的な事実に基づいて政策を決定することは保守主義の原則である」と、環境主義が保守主義の基本原則であることを宣言している。

 

 そのうえで、気候変動による異常気象が米国全体で増大し続けており、洪水、熱波、干害、暴風雨、生態系異変などネガティブな影響はさらに悪化し、米国注に広がっていると指摘。こうした状況下で、経済と環境については、慎重でかつ科学的なデータに基づく政策運営が求められる、と強調している。

 

 また2014年の国防計画で、気候変動が海外での貧困や政治的不安定、社会的摩擦のストレスを倍加させる脅威を上げていることにも言及。気候変動対応が、米国国内の事情だけではなく、経済を超えた国際的な課題としても影響が及んでいる点の重要性を指摘している。

 

 そのうえで、こうした温暖化の諸課題が解決されないままだと、「すべての米国人に負の影響を与える」と指摘。「その影響は、建設、農業、ツーリズムなどの産業の生産性を劣化させ、次世代に過大な負担を課す」などと述べている。

 

resolution2キャプチャ

 

 

 また温暖化懐疑論者が主張する「気候変動対策が経済負担を増大させる」といった論調への反論として、「気候変動リスクを回避し、対策をとることは、米国経済の競争力を削ぐような形で、経済に負担をかけることはない」と断言している。

 

 こうした指摘を重ねたうえで、「われわれは今こそ、気候変動問題を解決するための、重要で責任ある行動をとることができるし、とらなければならない」として、下院が米国の伝統を踏まえて、建設的に行動することを求めている。

 

 

 決議案を提出したのは、Elise Stefanik(ニューヨーク州)、Carlos Curbelo(フロリダ州)、Ryan Costello(ペンシルバニア州)の3人の共和党議員。これに、13人の議員が共同提案者として名を連ねた。署名した17人のうち、10人は当選回数が1回から2回の若手議員。

 

 これらの議員は気候変動の影響が顕在化している地域を主に選挙区に抱えている。3人が名を連ねたフロリダ州は、南部で海面上昇が地域コミュニティに深刻な影響を及ぼしており、またネバタ州とユタ州は、冬の積雪の減少でスキーリゾート産業が大きな打撃を被っている。

 

 提案者のCurbelo議員は、「気候変動の影響を深刻に受けている主体は、石油企業を含めて、すべて正しい方向に向かっている。議会はこうした人々の声を重視すべきだ。それを明確にするため我々は決議案をまとめた」と説明している。

 

http://citizensclimatelobby.org/republican-climate-resolution/#full-text

http://citizensclimatelobby.org/republican-climate-resolution/