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年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)、資金運用対象に条約・法律で製造禁止のクラスター弾製造米企業。政府は「受託運用機関のパッシブ運用の結果」として投資除外を否定(RIEF)

2017-04-08 22:38:20

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 公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、人道的見地から国際条約や法律で禁止されているクラスター弾を製造する米企業株に投資していることが7日、分かった。民進党の長妻昭衆院議員の質問主意書に政府が回答した。

 

 GPIFが投資しているのは米国のテキストロン社株約192万株(2015年度末時点)。同社は航空機エンジンや防衛システムズなどの軍事部門のほか、芝刈り機などの民需部門の両方を抱える複合企業として知られる。クラスター弾の製造についてはNGOの再三にわたる批判を受け、昨年8月に中止する方針を明らかにしている。

 

 長妻氏の主意書に対して、政府は「GPIFの外国株運用は投資一任契約に基づき受託した運用機関が市場平均の収益を目指すパッシブ運用を中心としており、外国の株式市場を構成する主要銘柄を対象に広く投資する方法をとっている」として、GPIFがテキスロン株を意識して投資しているわけではない、との説明をした。

 

 そのうえで、「クラスター弾等製造禁止法で、クラスター爆弾の製造禁止と保有を規制しているが、GPIFがクラスター爆弾を製造している外国企業の株式を所有することを禁止しているものではない」と、現行のテキストロン株投資を是認する姿勢を示した。

 

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 厚生労働省によると、一任契約で運用機関に委託しているのは、政府やGPIFの恣意的な判断が運用対象選定に入らないようにするためで、委託先が選定した個別銘柄についても、個別に投資をやめるよう求める指示もしないという。

 

 ただ、フランス、オランダ、スウェーデンなどの公的年金では、投資対象から武器製造企業等への投資を除外する方針を定めている。長妻氏は、同様のことを国内法令で禁止することは可能か、と質問したが、政府答弁では「(法令の改正は)仮定の質問なので答弁は控える」とした。

 

 クラスター弾は空中で多数の子爆弾をばらまくため、殺傷力が高く民間人の被害も絶えない。日本でも製造や所持は法律で禁止されている。欧米では公的年金だけでなく、民間の年金や銀行等も投融資対象から、クラスター弾等製造企業の除外を明記する動きが広がっている。

 

 国連の責任投資原則(PRI)に署名機関の間でも、投融資対象外とする動きがある。GPIFは2015年にPRIに署名、現在、GPIF・CIOの水野弘道氏がPRI理事会に理事を務めているが、欧米のNGOなどから、GPIFの投資判断の「甘さ」への批判が高まる可能性がある。

http://naga.tv/wp-content/uploads/2017/03/14bdf48cddce0f28998b4208d85f0272.pdf

http://www.gpif.go.jp/index.html