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活火山の国アイスランド。地中の火山マグマのエネルギーから直接発電する世界初の「マグマ地熱発電」計画が進行中。発電電力は1000kmの海底ケーブルで英国に輸出へ(RIEF)

2017-04-12 01:11:48

Iceland6キャプチャ

   火山地中のマグマ・エネルギーから直接発電する、世界でも初の「究極の地熱発電」計画がアイスランドで進んでいる。地中の熱や水蒸気を利用する通常の地熱発電より10倍以上も発電効率がいいという。発電した電力はアイスランドと英国を1000kmの海底ケーブルで結び、英国に輸出する壮大な計画だ。

 現在、進行中のプロジェクトは、アイスランドの北東部のクラフラ(Krafla)火山の麓で1970年代後半から発電が続く同国最大のクラフラ地熱発電所。現在、30MWの通常型の地熱発電機が2機フル稼働しており、年間500GWhの電力を供給している。

 30以上ある井戸のうち、1999年に開発された井戸(IDDP-1)は、2009年に地下2100m地点でクラフラ火山のマグマの一つの最下部に到達した。熱水の温度は430℃と「世界で最も熱い井戸」と評価されてきた。このマグマのエネルギーを地熱発電源として使おうという計画だ。

右上の矢印部分が「マグマ発電所」計画地
右上の矢印部分が「マグマ発電所」計画地

 現在、アイスランドの地熱研究所(GEORG)と英国の地質研究所が協力体制をとり、事業規模は1億㌦(約110億円)で技術面と事業面の両方を精査中だ。米国、カナダ、ロシアなど11カ国の38の研究所や企業も参加している。

 アイスランドは活火山が多く、国内の電力は地熱(約3割)と水力発電(同7割)の二つの再生可能エネルギーで100%賄えている。実際には、豊富な地熱エネルギーは使いきれていない。今回の事業は、その地熱発電の効率性をさらに高め、海外に電力輸出をして国益を増やそうという計画だ。

 マグマ地熱発電が実現すると、世界でも初めて。発電効率が極めて高いことから、英国に輸出しても英国内の電力に比べて価格競争力を持つとみられる。現在の開発のメドがたてば、英国民160万人分が年間消費する電力を、海底ケーブル(IceLink)で送電できる見通しだ。

Iceland2キャプチャ

  ただ、マグマのエネルギーを直接利用することのリスクもある。クラフラ山自体、地熱発電所の建設の前に噴火を起こし、発電所の建設が遅れた経緯もある。技術的な課題に加えて、電力輸出先の英国が欧州連合(EU)から離脱を決めたことや、電力輸出が、国内の電力価格の上昇につながるとの懸念の声も出ているという。

 アイスランドは一時、金融立国を目指していた。だが、2008年のリーマンショックを契機とした世界金融恐慌の影響を受けて、国が債務不履行状態に陥る危機に直面した。もう金融にはこりごり、というところで、今度は「エネルギー立国」を目指すことになるが、首尾はどうか。

http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-4397728/Iceland-magma-drilling-project-revive-giant-UK-power-cable-link.html?ITO=1490&ns_mchannel=rss&ns_campaign=1490