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プルイット米環境保護庁長官 石炭鉱山でEPAの政策転換を宣言、「基本に戻る」。連邦規制を縮減し、州・地方に権限移譲へ。温暖化、水質保全、自動車排ガスの3分野を重点に(RIEF)

2017-04-15 22:28:55

 

 米国のプルイット環境保護庁(EPA)長官は、ペンシルバニア州の石炭鉱山を視察、「基本に戻る(back to Basics)」として、EPAの政策転換を宣言した。その軸は、大気汚染や水質汚濁対策に関する政策を、EPAから州レベルに大幅に移管し、石炭や石油・ガスなどの産業の雇用を刺激する、ことを目指す、としている。

 

 プルイット氏はトランプ大統領の反温暖化政策を体現するために、EPAに送り込まれた。前任のオクラホマ州の司法長官時代は、オバマ前大統領が推進した石炭火力規制の「クリーン・パワー・プラン(CPP)」の撤廃を求める訴訟の原告を務めたほか、14回もEPAを相手とした訴訟を起こしている。

 

 プルイット氏が視察に訪れた石炭鉱山はペンシルバニア州シカモアにあるハーベイ鉱山。同鉱山は、採掘後の有害物質を含む廃棄物を無許可で地域の河川に投棄し続けたことで、昨年、EPAから罰金刑を受けている。しかし、EPA長官となったプルイット氏は、鉱山労働者らから大歓迎を受けた。

 

Pruitt1キャプチャ

 

 プルイット氏は、記念に贈られたヘルメットを受け取り、「石炭産業はこれまでの長年にわたる過剰な規制を受けてほぼ荒廃状態にある。しかし、トランプ大統領による新たな方針は、事態を改善し、鉱山労働者を含め、多くのまじめな労働者を支えることになるだろう」と鉱山規制の大幅緩和を示唆した。そして「連邦政府と石炭産業の『戦争』は終わった」と宣言した。

 

 プルイット氏は「基本に戻る」との政策転換の対象を、気候変動、水質汚濁、自動車排ガス規制の3分野と指摘した。これらの政策において、EPAによる連邦規制を廃止または改正し、州や地方に権限を移管することを目指す。すでに、EPA内部に規制体系を全面的に見直すタスクフォースを設置している。

 

 プルイット氏が、EPAの大幅な政策転換宣言の場所となったハーベイ鉱山は、Consol Energyが所有している。同社は違法排水の容疑で、EPAに摘発され、300万㌦の罰金を支払っている。EPAと司法省合同の調査によって、2006年から15年の間に少なくとも188回の違法排水を行っていたという。

 

 Consol社はその後、汚染管理システムを改善するなどの対策を実施した。しかし現在は、「石炭産業からの撤退」を目指しているという。同社は保有する鉱山をすでに過去4年間で7カ所も閉山している。

 

 環境団体Sierra Clubの石炭廃止キャンペーンの担当を務めるBruce Niles氏は「プルイット氏の経歴をみれば、彼が人々の健康を守るよりも、何度も清浄大気汚染法や水質保全法を攻撃して、石炭などの汚染者企業の利益を擁護してきたことがわかる。今回の声明も、依然、汚染者を最優先していることを示すだけだ」と厳しく批判している。

 

 

 EPAはトランプ政権によって、予算の大幅削減と、職員の25%削減、56件の現行の環境保全政策の廃止などを求められている。

 

https://www.epa.gov/newsroom/epa-administrator-scott-pruitt-back-basics-agenda

https://www.epa.gov/