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トランプ政権、パリ協定からの離脱の可否で足並みそろわず。18日に予定された「アドバイザー会合」急きょキャンセルに。残留派優位に離脱派が巻き返しか(RIEF)

2017-04-19 01:07:57

trumpキャプチャ

 

  トランプ政権が、世界の地球温暖化対策を定めたパリ協定から離脱するかどうかに関心が集まっているが、政権自体が方向感を定められない状況にあることがわかった。米ホワイトハウスは18日に、トランプ政権の幹部、アドバイザーが集まり、パリ協定への対応を協議する予定だったが、土壇場になって会合はキャンセルされた。 

 

 18日の会合は、週初めに急きょ伝えられた。会合にはトランプ大統領は出ず、「アドバイザーたちが出席する」とされていた。出席者と目されたのは、離脱を主張する環境保護庁のスコット・プルイット長官、エネルギー省のリック・ペリー氏らの温暖化懐疑論者らに対して、協定残留を重視するトランプ氏の娘のイバンカさんと夫のクシュナー氏、さらに国務長官の元エクソン・モービルCEOのティラーソン氏らが想定されていた。

 

 この会合の前提として、ホワイトハウスは、米国国家経済会議(NEC)を通じて、石炭企業を含めたエネルギー企業らを対象に、協定の扱いを見極めるためのヒアリングを実施していたこともわかった。メディアの報道によると、 石炭鉱山業のCloud Peak Energy Inc と Peabody Energy Corp はいずれもヒアリングを受けたことを認めたうえで、超臨界圧火力発電所などをグローバルに展開するため、協定にとどまるほうが望ましいと答えたと説明している。

 

 またシェルやエクソン・モービルも同様に、協定残留の立場を示したとされる。一方の離脱派のプルイット長官は先週末、米紙とのインタビューで「協定は米国にとって『悪い取引』であり、離脱するべきだ」との発言をしている。ホワイトハウスで予定された会合が、残留の方向で決まりそうな情勢になったことをけん制する発言だったとの見方もある。

 

 しかし、会合当日の18日、ホワイトハウスのスポークウーマンのサラ・ハッカビー氏は、「会合は、2,3週間後に延期された」とアナウンスした。延期の理由については、複数の参加予定者が出席できなくなったため、と説明した。彼らはトランプ大統領がウィスコンシン州で開くイベントへ出席することになった、という。

 

 幹部、アドバイザー間の意見の調整がつかないためではないか、との記者団からの質問に対しては否定し、「彼らの間で大きな相違があるとは思わない」とあくまでもスケジュール上の都合であることを強調した。

 

 トランプ政権は、パリ協定の扱いについて、5月末にイタリアで開くG7(先進七カ国会議)までに政権のスタンスを決めるとの方針を示していた。今回の会合は、そのために政権内部での意思統一を図ることが狙いだった。しかし、結果的にまだ意見の一致が得られていないことを世に示した形だ。

 

 パリ協定は2015年に200カ国近くが署名して成立、昨年12月に発効している。米国はオバマ前大統領がCO2排出量を2025年までに2005 年比で26~28%削減する国別公約を目標として示している。これに対してトランプ大統領は選挙期間中、協定からの離脱に言及したが、大統領就任後は、慎重な言い回しに変わっている。