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福岡の太陽光パネル製造のZEN POWER倒産。負債52億円。海外での不良債権で行き詰まる。2016年度の太陽光発電関連倒産、FIT制度「改悪」の影響で過去最高に(RIEF)

2017-04-21 16:34:08

Zenpowerキャプチャ

 

  福岡市の太陽光パネル製造・販売のZEN POWERは、今月5日に福岡地裁から破産開始決定を受けた。負債総額は約52億円。東京商工リサーチによると、太陽光関連の企業破綻としては、九州・沖縄地区で過去最大の倒産となった。また、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)開始以降では3番目の大型倒産。

 

 ZEN POWERは2005年12月に、エスシパワ社として設立。2013年10月に現在の社名に変更し、福岡県久山町の工場で太陽光発電モジュールの組立・販売を主に手掛けてきた。「日本製のパネル」を売りとして、国内および海外向けに販売、26年12月期は約74億円の売上高をあげるなど順調な経営を続けていた。


 しかし、大口取引先だったドイツの企業に多額の不良債権が発生したことで資金繰りが悪化し、仕入代金の支払いができなくなったという。また、欧州でのモジュール価格の下落、国内ではFITの再エネ買取価格の引き下げなどで、太陽光発電市況が急激に悪化した。

 

 こうした経営環境の悪化が高まり、27年12月期の売上高は約5500万円へ急減。同期末までに社員を解雇し、事実上の事業停止に追い込まれていた。

 

 東京商工リサーチが今月初めにまとめた「太陽光関連事業者」倒産状況によると、2016年度の倒産件数は68件に達し、過去最多を更新した。これまで最多だった2015年度の61件を7件(前年同期比11.5%増)上回った。


 ただ、負債総額は146億4,100万円(同57.0%減)で半減した。これは15年度に、新電力の日本ロジテックが負債約120億円で銀行取引停止処分を受け倒産するという大規模倒産があったため。2016年度の負債最高額は太陽電池セル製造のPVG Solutions(神奈川県)の約22億円で、全体の負債総額は大幅に減少した。

 

 太陽光発電関連企業の倒産増は、昨年年5月に再生可能エネルギー特別措置法が改正され、この4月1日から全面施行された影響が大きい。4月以降は、電力会社との接続契約が未締結の太陽光発電事業の認定は失効するほか、大規模の事業用太陽光発電の買い取り制度を入札制度へ移行するなど、FIT制度の目玉だった太陽光発電への優遇策が大幅に縮小している。

 

 このため、FITを見込んで太陽光発電市場に参入した企業のうち事業基盤の脆弱なところが、経営の行き詰まり状態に陥っている。東京商工リサーチでは、今後も淘汰が進む可能性が高い、とみている。

http://www.tsr-net.co.jp/news/tsr/20170418_01.html

http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20170406_01.html