HOME |米環境保護庁(EPA)のホームページで「気候変動」へのアクセス不能に。EPA事務局は、トランプ政権の方針に沿って「更新中」と説明(RIEF) |

米環境保護庁(EPA)のホームページで「気候変動」へのアクセス不能に。EPA事務局は、トランプ政権の方針に沿って「更新中」と説明(RIEF)

2017-05-02 01:15:50

EPA1キャプチャ

 

 トランプ大統領の反温暖化姿勢を反映する形で、先週末から、米環境保護庁(EPA)の公式ホームページ(HP)は、気候変動の情報が見れなくなるなど、大幅に変更されている。EPAは「現在、トランプ政権による新たな方向性を反映した変更を進行中」と説明している。

 

 HPの修正は、「人の健康と清浄な大気、土地、水への、EPAの役割を新たに示すために、HPの古くなった情報を整理し、読み手側の混乱を減らし、EPAの新しいリーダーシップの意見を反映させることを目指す」(広報担当の J.P. Freire氏)との趣旨という。

 

 気候変動関連のサイト情報をクリックすると、ほとんどが「being Updated(更新中)」との表示になる。温室効果ガスのデータ等へはアクセスできるが、気候変動の基本政策等にはたどり着けない。基本的には、オバマ前政権による石炭火力発電所規制(CPP)の撤回を命じた大統領令(Energy Independence)を踏まえ、EPA長官に任命されたプルイット氏の方針を反映した形だ。

 

EPA2キャプチャ

 

 「更新中」との表示がいつまで続くのかの説明はない。また気候変動が「古くなった情報」に該当するかも議論を呼ぶが、説明はない。ただ、オバマ前政権が、連邦法での規制を避け、EPA規制と州法改正でCPPを推進してきたことを批判する形で、「法律に基づき、州とも連携して、環境と人の健康を守るかを議論する余地を作り出す」と説明している。



 HPのトップページから気候変動の言葉が消えた一方、トランプ大統領令に沿った表現が盛り込まれている。CPPに関する説明はすべて「更新中」と位置付けられた。ただEPAは、気候変動等に関する情報は、完全削除ではなく「現在、前政権時代の規制等に関する表現をレビュー中」と説明する。

 

 一方、オバマ前政権時代の情報は完全にHPから消去されたわけではない。「January 19, 2017 Web Snapshot」というリンクにまとめられた。ここにアクセスすると、気候変動の説明や政策の概要等が紹介され、前長官のGina MacCarty氏の写真やコメントもある。EPAのHPは、現在と過去の二重構造になった感じだ。

 

 EPAの職員の労働組合の「American Federation of Government Employees Council 238(AFGE)」代表のJohn O’Grady氏は「『焚書』活動が始まった」と批判している。AFGEはEPA職員9000人以上が参加している。同氏は、今回のHP改定の動きを「トランプ政権の気候変動問題への姿勢が非常に間違っていることを示すもの。その影響はすべての米国民、特に貧しい人と社会で限界的な立場にある人たちにとって大きい」と指摘している。

https://www.epa.gov/environmental-topics