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厚労省 労働法違反の「ブラック企業」一覧表を公表、全334件。電通、パナソニック、日本郵便も(RIEF)

2017-05-11 16:53:56

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 厚生労働省は、違法な長時間労働や賃金不払い、労災につながる不適切な対応などで、労働関係法令に違反した「ブラック企業」334社のリストを公表した。リストには社員に違法残業を強いて自殺に追い込んだ電通や、労災事故を隠した日本郵便、長時間労働のパナソニックなども、名を連ねている。

 

 公表されたリストは「労働基準関係法令違反に係わる公表事案」と題している。リストは毎月更新され、送検した日から約1年間、掲載が続く。各地の労働局が昨年10月以降、法令違反で書類送検した企業の名前と、概要、送検日がわかる形になっている。

 

 中には、同じ会社が複数回書類送検されたケースもあった。地域別で最も多かったのは、愛知労働局の28件で大阪労働局の20件、福岡労働局の19件が続いた。

 

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 電通は「労働者2人に、36協定の延長時間を超える違法な時間外労働を行わせた」として、昨年12月28日に送検された。パナソニックは、富山県砺波市の工場で、労働者3人に長時間労働を強いて、1人が死亡した。今年3月15日に送検された。日本郵便は、新大阪郵便局で従業員が荷物を運搬中に負傷して長期の休業を余儀なくされたのに、必要な届出をしなかった、として今年2月28日に送検された。

 

 案件別では、「工事現場に手すりを設置せずに作業をさせる」「プレス機械の安全措置を使用させなかった」などの労働安全衛生法違反や、労働者に支払うべき賃金を支払わなかった最低賃金法に違反するケースが多かった。また電通やパナソニックのように、労使協定(36協定)で定めた時間を大幅に超える違法残業をさせていたケースも少なくない。

 

 厚労省は「一覧表を公表することで、社会に警鐘を鳴らすのが目的」とし、電通社員の過労自殺をきっかけとした違法労働根絶に向けた強い姿勢を示した形だ。ただ、労基署自体、これまでも監視の目を光らせていたはずで、これまでも「ブラック企業」の横行にもっと警鐘を鳴らすべきだったとの批判もある。

 

 今回のリストに名前を上げられた企業は自ら改善を急ぐ必要がある。そうした企業の自助改善を促すには、投資家や取引先企業が、自らの取引先・投資先に、これらの企業が含まれていないかどうか、含まれている場合は、その後の改善が図られているのかどうかなどを、改めて評価する行動をとるべきだろう。

http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/dl/170510-01.pdf