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韓国の文在寅新大統領、老朽石炭火力10基の一時停止を命令。老朽原発も閉鎖、新規建設見直しへ。「脱化石・脱原発」のエネルギー政策を打ち出す(RIEF)

2017-05-17 02:50:56

koreaキャプチャ

 

 韓国大統領に就任した文在寅氏が、環境・エネルギー面で独自色を打ち出した。大気汚染悪化の原因である老朽石炭火力発電所10基を6月に一時停止し、来年にさらに10基停止すると公表した。また原子力発電所も老朽のものを閉鎖、建設中のものは見直し、今後40年で原発に頼らないエネルギー政策に切り替えるとしている。

 

 発電停止対象の10基は、江原道、全羅道、忠清南道、慶尚北道の各地にある操業から32年~44年が経過している老朽火力発電所。この10基が現在の大気汚染物質の20%を排出しているという。韓国は中国からの黄砂やPM2.5の飛来も多いが、国内でも石炭火力が59基と多いため、ソウル市内などでもばいじんによる健康被害問題が深刻化している。

 

 文氏は大統領選挙期間中、就任後に、こうした大気汚染問題に取り組むことを宣言していた。韓国の大気汚染による健康被害は深刻で、2060年を見据えたOECDの調査でも、先進国中で単位当たりで、もっとも多くの死者を出すと推計されているほどだ。

 

文在寅大統領
文在寅大統領

 

 そこで、大気汚染の原因となる石炭火力の操業を低下させる発生源対策に加え、影響の低減策として、小学校から高校までの1万1000校に600億ウォン(約5300万㌦)をかけて、ばいじん測定設備を設置する。石炭火力の稼働低下によって、ばいじんの排出量を現状より30%削減することを目標とする。

 

 また原発についても、操業期限が到来した老朽原発については、日本のように操業を延長せず、期限通りに閉鎖する。安全性を重視するためという。また現在建設中の新規原発についても計画の見直しを行う。そのうえで、今後40年以内に「原発なしの国」になることを目指すとしている。

 

 文氏は「われわれは、もはや安全とクリーンなエネルギーを目指すことで(他国に)遅れをとっていられない。石炭火力と原発を減少させ、再生可能エネルギーと天然ガスの発電を増やしていく」と化石燃料と原発からの脱却を宣言した。

 

ただ、現在、韓国の発電の40%は石炭火力で最も多く、次いで原発の30%となっている。天然ガス発電は25%だが、再エネは2%でしかない。このため、想定通りの天然ガス・再エネ切り替えには、エネルギー安定供給のリスクがある、との指摘もある。

 

https://qz.com/983626/moon-jae-in-south-koreas-new-president-is-shutting-down-10-big-coal-power-plants-in-his-first-week-in-office/

http://www.koreaherald.com/view.php?ud=20170515000815