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中国、華々しく打ち上げた「一帯一路」構想沿いの諸国で、すでに石炭火力発電投資240件、総発電量251GW。グリーンなシルクロードになるかどうかの分かれ目(RIEF)

2017-05-18 01:45:58

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 中国の北京で開いた「一帯一路(海と陸の現代版シルクロード)」の初の国際協力サミットフォーラムで、習近平国家主席は、9000億㌦の海外インフラ投資を約束、グリーンインフラの国際的連合の設立も提唱した。その一方で、中国は「一帯一路」周辺国で、総発電量は251GWに達する240の石炭火力事業に関与していることがわかった。「一帯一路」が本当にグリーン化するか、ブラウン化するか、中国の海外インフラ戦略の真価が問われそうだ。

 

 中国は再エネ分野でも太陽光発電設備では世界をリードする生産量を誇り、風力事業にも力を入れている。また北京をはじめとする主要都市でPM2.5増大が社会問題化しており、国内では、石炭鉱山・石炭火力への縮小圧力が強まっている。

 

 その一方で、米国のシンクタンク、Global Environmental institute(GEI)の調査によると、中国は世界最大の石炭火力発電所への投資主体になっている。習主席が「グリーン」をアピールした「一帯一路」沿いの25カ国において、2001年以来、240もの石炭火力発電所建設事業に関わってきた。そられのうちには、世界銀行や西側の事業主体が、石炭火力事業から撤退した後を埋める形で進出した事例も少なくないという。

 

 GEIによると、これら240の石火発電所計画のうち、52件(発電量72GW)は計画段階で、現在、世界で計画中の石炭火力発電の12.66%を占める。また54件(同48GW)は建設中で、これも世界全体の17.59%を占める。

 

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 残りの114件(88GW)が2001年以降に中国の援助や投融資で建設されて稼働中の発電所ということになる。「一帯一路」で稼働中の中国関与の発電所は世界全体で稼働中の石炭火力の4.48%を占める。GEIは「中国はグローバルな石炭火力発電市場での有力プレイヤーの一つ」と位置付けている。

 

 「一帯一路」沿いの地域の中でも、特に南アジアと、東南アジアでの投融資が多い。インドなどの南アジア向けは全体の57.11%で、次いで東南アジアが22.75%となっている。国別では、インドとインドネシアでの投資が1位と2位。次いでベトナム、パキスタンの順。中国からこれらの国への石炭火力投資が多いのは、相対的な政治的安定、国内衝突の少なさ、経済成長の早さ、地政学的判断などが理由にあげられる。

 

 中国主導石炭火力事業には、建設工事の主体としてPower Construction Corporation of China、 Harbin Electric Corporation、 China Energy Engineering Groupなどの中国の10大企業が参加し、ファイナンスは中国国営銀行等が対応するという国家ぐるみの体制になっている。

 

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 「一帯一路」での石炭火力事業の集中がみられる中国だが、2001年以降、4段階での発展・展開の相違がみられるという。特に2013年から2015年にかけて、世銀が石炭火力事業へのファイナンスを控えるようになった間隙を縫うように、中国が進出を強めた。ただ、パリ協定の発効をにらんで、2016年は 減速傾向をみせている。

 

 今年も減速傾向が続くかどうかの見極めが、「一帯一路」構想が本物のグリーンベルトになるかどうかの評価の分かれ目になりそうだ。

 

http://www.geichina.org/_upload/file/report/China’s_Involvement_in_Coal-fired_Power_Projects_OBOR_EN.pdf