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太陽電池、国内市場縮小が鮮明に。京セラなど大手4社、3月期の出荷額がそろって前期比減。FITの制度変更や、価格下落で太陽光発電市場の魅力喪失(各紙)

2017-05-20 22:45:42

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 各紙の報道によると、太陽電池大手4社の2017年3月期の販売実績は、全社が前期比割れとなった。太陽電池大手の売り上げがすべて減少するのは、固定価格買い取り制度(FIT)が始まって以来、初めて。政府がFIT制度を修正した影響や、国際的な価格低下などで、国内市場が縮小したことになる。

 

 日刊工業新聞が大手各社の販売実績を調べた。それによると、最大手の京セラは前期比約8%減の110万kW、シャープは同約30%減の70万kW。パナソニックの実績は非公表だが、営業損益が赤字に転落、減少は明瞭。三菱電機は30%減の28万kW、決算時期が12月期のソーラーフロンティアは昨年12月期が横ばいだったが、今期は約20%減の70万kWにとどまりそうという。

 

 太陽光発電協会によると、2015年3月期の総出荷量は987万kWで、もっとも多かった。それが16年3月期は20%減の806万kWと下がり、今年3月期も20~30%減で、600万kW台になるとみられる。ピーク時に比べると、3分の2に縮んだことになる。

 

 国内大手各社の出荷量がじり貧になる背景には、国際的な太陽光発電設備の価格下落で、過剰設備を抱える中国メーカーが、相対的に価格の高い日本市場でのビジネス確保のため値下げ攻勢をかけているほか、今年度から済産業省がFITの太陽光発電の買い取り制度を入札制度に切り替えるなどの制度変更が、再エネ市場の魅力を減じていることも影響しているとみられる。市場リスクと、政策リスクが同時に顕在化した形だ。

 

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 各社別にみると、京セラは17年3月期の出荷目標を、16年3月期実績と同額の130万kWとしていたが、目標に届かなかった。国内市場の低迷を補うために北米市場でテスラの太陽光発電子会社向けなどに力を入れたが、中国勢などとの競争の激化で、想定を下回った。今後は、収益改善のために国内の組立工場を2拠点から1拠点に集約し、一部生産は協力会社に委託する。海外は米国を縮小し、タイ市場に力を注ぐという。

 

 シャープは国内市場での住宅、産業向けとも低迷し、16年3月期の100万kWから大きく減少した。ただ、利益を圧迫していた原材料の契約を見直し、営業損益は黒字に転換した模様という。パナソニックは主力の国内住宅市場の縮小が稼ぐ力を削いだ。パナソニックは今後、海外事業を強化、今夏には米国工場を稼働させ、テスラへの供給を本格化する。津賀一宏社長は「テスラ以外にも引き合いがある」とし、次の海外工場建設の可能性にも言及している。

 

 ソーラーフロンティアは海外の受注活動を停止し、国内市場に集中する。海外市場では価格競争が激しく、収益が悪化しているためだ。国内工場は休止せずに稼働を続けるとしている。

http://www.nikkan.co.jp/articles/view/00428801