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グローバルな再生エネルギー関連の雇用者数、昨年は微増の1.1%増の980万人。中国が3分の1以上。日本は太陽光市場で初の減少。国際再エネ機関(IRENA)が報告(RIEF)

2017-05-24 22:34:28

IRENA1キャプチャ

 

 国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は、昨年中のグローバル市場での再エネ分野の雇用者数が前年比1.1%増の980万人で、伸び率が鈍化している、とする報告書を公表した。再エネの種類別では、太陽光発電が最も多い310 万人(前年比12%増)。国別では日本の太陽光発電雇用者数が前年比20%減と大幅下落したのが目立っている。

 

 再エネ雇用者のうち、大規模水力を除くと830万人で伸び率は2.8%増に改善する。国別で雇用者数が多いのは、中国が364万3000人で全体の3分の1以上を占め、「再エネ雇用大国」の座を維持した。ついで、ブラジル(87万6000人)、米国〔77万7000人)、インド(38万5000人)、日本(31万3000人)と続く。

 

 再エネの種別で、もっとも多くの雇用を抱えるのは、太陽光発電。グローバルベースで310万人(前年比12%増)。主な市場は中国、米国、インドの3カ国。中国の太陽光関連雇用者数は全体の半分以上を占めた。日本市場は2015年は堅調だったが、政府が固定価格買取制度(FIT)の価格引下げと制度変更を決めたことから、初めて減少に転じた。EUも低下している。

 

Irena2キャプチャ

 

 種別で続くのは、バイオ燃料分野だ。雇用者数は170万人(同2%増)。雇用の大半はバイオ燃料となる植物を栽培する農業部門で広がっている。中国の雇用者数は低下しているが、ブラジル、アルゼンチン、インドネシアで増加している。

 

 風力発電の雇用者数は120万人(同7%増)で、3番手ながら、増加基調が続いている。国別では、中国が50万9000人と、ほぼ全体の半数を占めている。ついで、米国、ドイツ、インドの雇用が続く。米国は風力発電所の建設が増えたことから、雇用者数も28%増の10万2500人と大きく伸びた。

 

 大規模ダムの雇用者数は150万人で、業務としては全体の60%がダムの発電の管理、運転等に従事している。雇用者数が多いのは中国、インド、ブラジル、ロシア、それにベトナムの順になっている。

 

IRENA3キャプチャ

 

 日本市場での太陽光発電市場での雇用は30万2000人で前年比20%の大幅減。報告書は雇用者数低下の要因について、経済産業省によるFITの買取価格引下げと、発電所用地の不足、それに既存の送配電網への接続の困難さの3点を指摘。このうち、用地不足を除いて、政策・制度的な不適合が雇用増を阻んだと指摘している。

 

 国内のパネルメーカーなどの太陽光発電事業者は、国内市場が縮小することでさらなるコスト削減を強いられ、中国等のコストの安い海外メーカーとの競争にさらされたと分析。こうした経緯が、65件に及ぶ太陽光関連企業の倒産につながったとみている。

 

 またIRENAの報告書は、化石燃料産業ほどではないが、再エネ産業も、北米や中東などで、女性労働の少なさが目立っていると指摘している。クリーンエネルギー市場の雇用の多様性が課題、としている。

http://www.irena.org/menu/index.aspx?mnu=Subcat&PriMenuID=36&CatID=141&SubcatID=3852