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戦闘が続くシリア。電力不足に直面する病院の屋根に太陽光パネル設置。ギリギリの状態でも、太陽光で「命」を守る(各紙)

2017-05-30 01:02:17

 

 内戦状態が続くシリアのある病院が、軍事対立の影響で電力が不足する中、ディーゼル自家発電を補うため、太陽光発電パネルを病院の屋根に設置した。テロの標的にされないよう病院名は伏せられている。約480枚のパネルが張られ、毎月7000㍑分のディーゼル油を節約できるという。ギリギリの命を太陽光が必死で守る格好だ。

 

 世界の医療団の現地組織「UOSSMシリア医療救援組織連合」によると、同病院は6年間の戦争状態によって市街地の電力送配電網が破壊された後、ディーゼルエンジンによる自家発電に頼ってきた。しかし、ディーゼル油の入手が容易でないほか、価格も上昇しており、病院内の電力の維持が難しい状態になってきたという。

 

 病院には未熟児用保育器が6台ある。だが、電力が不安定のままだと未熟児の命にもかかわりかねない。そこで、UOSSMは太陽光発電の設置に踏み切った。日射量の多いシリアでは、日中はディーゼル発電自体が不用の日も多いという。太陽光発電はその日中に発電できるため、ディーゼル油を節約できるほか、エネルギーコスト全体を20~30%下げる効果が期待できる。

 

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  UOSSMは、今回の第一号の「ソーラー・ホスピタル」に続けて、同様の問題を抱えている他の5つの病院にも、太陽光パネルの設置をすることを計画している。

 

 UOSSMの「シリア太陽イニシアティブ」の計画担当者であるTarek Makdissi氏は、「こういう再エネ事業は『希望』をもたらす。われわれの『夢』は、シリアのすべての医療施設にクリーンで、持続可能なエネルギーを導入することだ」と期待を込めている。

 

 UOSSM-Canadaの会長であり、外科医でもあるAnas Al Kassem氏は「本当に素晴らしいことだ。シリアにある電気インフラ設備の大半は、爆撃されたか、解体されたか、破壊されたかのいずれかだ。多くの患者が単に電力不足が原因で死んでいる。だからここでは、太陽光事業がどうしても必要なのだ」

 

http://www.uossm.org/