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日立製作所 内外で原発廃炉ビジネスを本格化。中部電力浜岡原発の事業受注。海外ではベクテルと提携し、ドイツ、スウェーデン市場に参入(各紙)

2017-05-30 17:39:38

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 日立製作所は内外で原子力発電所の廃炉ビジネスを本格展開する。中部電力の浜岡原子力発電所(静岡県)の1,2号機の廃炉事業の一部を受注するほか、海外では、廃炉が進むドイツやスウェーデンでの受注に向けて、GEとの合弁であるGEニュークリア・エナジーを軸に廃炉事業の受注を目指す。政府は原発再稼動を進めるが、安全面等で今後も年1~2基の廃炉事業受注が期待でき、再稼動よりも収益に貢献するとみられる。

 

 電力各社は原発の廃炉・解体に向けて、廃炉費用を資産除去債務として資産負債に計上している。その費用を見込むと、国内の廃炉市場規模は少なくみても、約3兆円市場になるという。原発稼動とは異なり、廃炉の場合、途中での停滞や事故というのはまず考えられないことから、安定した事業とみなすこともできる。

 

 今回、日立が中部電力から受注するのは、原子炉の放射性物質を除去する除染装置。事実上の発注と同じ「1次交渉権」を得た。発注額は数10億円とみられる。加えて日立は、装置の据え付け工事や関連業務も受注したい考え。中電は2基の廃炉で約900億円の費用を見込んでいる。

 

 日立はこれまで、国内で9原発で20基の原子炉を建設してきた。しかし、2011年3月の東京電力福島第一原発事故後、原発の新設は全く見込めない。その一方で福島第一原発をはじめ、他の老朽原発などで廃炉化が進んできた。日立は東電福島原発の廃炉事業にも参画しているが、他の原発への参画は今回の中部電が初めて。

 

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 東電福島第一原発事故後、原発の運転期間が原則40年に制限されたこともあり、今後、原発の廃炉事業は増える見込み。現在のところ、事故を起こした福島第一原発のほか、浜岡原発、日本原子力発電の東海原発が廃炉に着手している。また4月には原子力規制委員会が中国電力の島根1号機など4原発5基の廃炉を認可した。

 

 一方、日立の海外での原発子会社であるGE日立ニュークリア・エナジー(GEH)が廃炉事業への展開を経営の柱の一つに据えている。今年3月には、米ベクテル社と提携、ドイツとスウェーデンの原発の廃炉・解体事業の受注に向けて動き出した。

 

 GEの本体はすでに原発事業から撤退しているが、GEHは、今後、原発新設に加えて、廃炉ビジネスでもグローバル展開を予定している。特に、ドイツでは2022年までに国全体で脱原発を決定しており、廃炉事業が大きな市場として注目されている。

 GEHと提携したベクテルは30年以上にわたり、世界各地で500を超える原子力関連施設で除染、廃炉、修復、閉鎖に携わってきた経験を持つ。その中には、5つの州にある米国エネルギー省のサイトや英国のセラフィールドも含まれている。

 GEHの原子力サービス部門取締役副社長のランス・ホール氏は 「今回のGEHとベクテル社の提携により、両社の幅広い経験、リソース、プロジェクト管理のノウハウを活かした包括的な廃炉サービスを顧客に提供できる。ドイツとスウェーデンのプラント停止時には、この提携によって原子力発電所のライフサイクルの終了までサポートする」と述べている。

 またGEHは日本の原子炉内部構造物の交換プロジェクトや、米国の原子炉出力向上を目的とする原子炉構造部の段階的な交換プロジェクトの経験を持っており、国内での廃炉事業でもそのノウハウと経験を生かして事業展開を目指す。

 

 国内原発の廃炉事業では、三菱重工業も2015年に廃炉を扱う専門部署を設け、関西電力の美浜原発(福井県)の廃炉事業への参入を目指している。

http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170530&ng=DGKKZO17049260Q7A530C1MM8000

http://www.hitachi-hgne.co.jp/news/2017/2017news05.html