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EU中国首脳会議 パリ協定推進と気候変動対策での協力で合意。排出権取引、エコカー普及等を目指す。共同声明採択は見送り(RIEF)

2017-06-03 10:32:11

EUchina1キャプチャ

 

  欧州連合(EU)と中国は2日、ブリュッセルで第19回目のEU中首脳会議を開いた。この中で、トランプ米政権が離脱を決めた地球温暖化対策の国際合意であるパリ協定について、全面的に履行するとともに、気候変動対策の推進で合意した。

 

 首脳会議にはEU側から、EU大統領(常任議長)のドナルド・トゥスク氏、欧州委員会委員長のジーン・クラウド・ユンケル氏らが、中国側は李克強首相が出席した。

 

 トゥスク常任議長は会議後の共同会見で、「EUと中国は、気候変動の協力を高めることで、将来世代に対する連帯と、地球全体に対する責任を果たしていく。我々は米国がパリ協定から離脱することは大きな間違いだと確信している」と述べた。

 

 さらに、2001年にブッシュ政権が京都議定書から離脱したこととの比較で、「今回は、京都議定書の時よりも大きな間違いだ。なぜならパリ協定は(京都議定書に比べて)より公平な枠組みだ」と説明した。ブッシュ政権が京都議定書では、途上国に削減義務を課さなかったことを「不公平」として離脱したことを踏まえたものだ。

 

 ただ、当初、首脳会議では全9ページの「気候変動とクリーンエネルギーに関する共同首脳声明」を採択して、「米国抜きのパリ協定の実現」で、EU中が主導権を発揮することを宣言する方針だったが、共同声明は見送られた。

 

 EU関係者によると、両者はパリ協定を推進する協調体制をとることでは一致したものの、通商問題を巡る溝が大きく、共同声明に至らなかったという。中国側はEUに対し、世界貿易機関(WTO)での「市場経済国」の地位を認めるよう求めているが、EU側は中国の鉄鋼業が生産能力過剰担っていることの是正を求めるとともに、中国市場のさらなる市場開放を要請して対立している。

 

  しかし、気候変動とクリーンエネルギーの分野で、中国が年内に実施する中国全土での温室効果ガス排出権取引制度に対して、2005年からEUが実施している排出権取引制度の経験を生かす協力を進めるほか、エコカーの普及促進などでも協調していくことでは合意した。

 

 ユンケル委員長は「米国の不幸な決定について、中国と同じ見解を持ててうれしい。EUと中国は、パリ協定の実行のために、ともに進んでいく」と記者団に語った。

 

http://www.consilium.europa.eu/en/meetings/international-summit/2017/06/01-02/