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新電力「エナリス」、ブロックチェーン技術を活用した電力取引サービスの開発に向け、国産ソフトウェア開発企業と連携し実用化を目指す(RIEF)

2017-06-03 21:42:55

enerisキャプチャ

 

  新電力事業者のエナリス(東京)は、ブロックチェーン技術を電力サービス事業に活用するシステム開発に乗り出す。小売り電気事業者間でデータベース台帳を共有することで、効率的な分散型電力システムを構築できるほか、消費者のライフスタイルに合った多彩な料金メニューや付加サービスを提供できる可能性が高まる。ブロックチェーンソフトウェアの開発会社等と連携し、実証化を図る。

 

 小売り電力全面自由化に移行した電力事業市場は、従来のように既存の電力会社中心の中央管理型のデータ管理から、ブロックチェーン技術を使うことで小規模・多様な電力情報の需給管理や、小規模発電による余剰電力取引、ネガワット取引なども含めて最適なデータの組み合わせによるサービス市場に移行するとみられている。

 

 需給両面の取引の当事者同士が、直接、取引情報をやり取りし、その取引情報を複数の台帳(分散台帳)で記録するブロックチェーン技術がそのカギを握る。今回、エナリスはそうしたシステム開発のため、日本のブロックチェーンスタートアップ企業の「ソラミツ」(東京)が開発した国産ブロックチェーンソフトウェア「Hyperledger Iroha(いろは)」を電力サービスに応用するユースケース・パートナーとなった。

 

 「いろは」を使って行う実証実験では、ブロックチェーン技術をスマートメーターに組み込む開発実績をもつ「会津ラボ」(福島県会津若松市)と、「いろは」のブロックチェーン技術を用いた学内通貨実証を行った公立大学法人会津大学(同)とも連携して実用化を進める計画だ。

 

enaris2キャプチャ

 

 ビットコイン等、仮想通貨の価値記録の取引に使用されるブロックチェーン技術は、従来の中央集権型システムのようにデータを一カ所に集める方式に比べ、データを分散・共有することから、改竄が困難とされる。また、情報の流れが止まりにくい、安全なシステムを安価で構築できるメリットがある。

 

 エナリスが取り組む「いろは」のソフトウェアは、日本発のブロックチェーンのオープンソースソフトウェア。米IBMの「Fabric」、米Intelの「Sawtooth Lake」に続いて、世界で3番目にHyperledgerプロジェクト(Linux システムの普及を目指す非営利コンソーシアムのLinux Foundationによるブロックチェーン技術普及のための共同研究プロジェクト)に採用されている。

 

 「いろは」には、「高速スピードで非常に高いパフォーマンスを実現するアプリケーション構築が可能」、「開発者に理解しやすく、開発しやすいシンプルな設計」、「モバイルアプリが簡単に開発できるiOSとAndroidのライブラリーを用意」などの特徴がある。

 

 エナリスは、「いろは」のブロックチェーン技術を活用することで、小規模な再生可能エネルギーの統合化や個人が創出する電力(創エネ、省エネ、蓄エネ)を有効に活用するほか、電気自動車(EV)や蓄電池も電力システムに組み込んだ最適な分散型エネルギーシステムの実現を目指す。

 

http://www.eneres.co.jp/pr/20170531.html