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関西電力、熊本県での竹材を燃料としたバイオマス熱電供給事業に出資参加。将来は自前で50万kWの発電量確保を目指す(RIEF)

2017-06-03 22:48:31

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 関西電力は熊本県北部の玉名郡南関町で、地域の未利用資源の竹を活用したバイオマス熱電併給に参画する。同地で開発事業を手掛ける「バンブーエナジー社(BE)」に出資し、竹材を燃料としたバイオマス事業に参加するとともに、2030年までに約50万kWの再生可能エネルギー電源として自社開発することを目指す。

 

 竹林は各地の里山で増加し、「放置竹林」問題を引き起こしている。だが、燃料としての活用になると、木質に比べてカリウムが多量に含有されているため、焼却した際、ボイラー炉内に「クリンカ」という溶岩を生成させ、ボイラーの機能を低下させる課題がある。また、塩素濃度が高いことや、燃焼時に、耐火物や伝熱管を腐食させやすく、ダイオキシン類の発生も懸念される。

 

 今回、事業を実施するBE社は地元の竹材を活用し、竹とバーク材を混焼することでクリンカの発生を抑える技術を開発した。その結果、障害となるカリウムと塩素を溶出させることで、燃料化の見通しがついたという。

 

 事業はBE社が竹・バークを活用したバイオマスエネルギーの熱・電併給モデルを運用し、バンブーフロンティア(BF社)が竹材の調達および燃料チップの一次加工を担当、バンブーマテリアル(BM)が竹を原料とした建築資材製造工程から出る端材や未利用材を供給する。全体を「バンブーフロンティア事業」(BF事業)として実施する。関電はBE社に11%を出資する。地域の未利用材である竹資源を、建築資材からエネルギー利用に至るまで、有効活用する仕組みだ。

 

 

 

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 その結果、放置竹林化を抑制すると同時に、地域発の新たなエネルギー源の確保と、新たな雇用を生み出す期待がある。

 

 BEグループは2015年10月から新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成を受けて、実験を繰り返してきている。2018年6月に着工し、2019年1月から稼働予定。発電には日本初のORC(Organic Rankine Cycle)発電機(出力約1000kW)を採用する予定で、熱出力が温水約2800kW、熱媒油が約2800kW。燃料の竹材とバークは1日当たり約77㌧消費する。

 

 竹材のバイオマス燃料への活用については、日立製作所も今年3月、竹材の断面の多孔質の繊維を細かく微粒化することでカリウムを容易に溶出できる技術を発見、福岡県八女市と北九州市の協力で実用化のめどをつけている。日立の開発は、林野庁の補助事業「木質バイオマス加工・利用システム開発事業」の一環。http://rief-jp.org/ct4/68294

 

 関西電力は、今回のBF事業に出資参加することで、竹を燃料としたバイオマス熱電供給の知見を獲得し、将来は自前のバイオマス発電事業の展開を目指しているという。各企業の技術力と資本力が連係することで、「国産資源」でもある竹林を活用した低価格の国産エネルギーの普及が期待される。

 

http://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2017/0531_3j.html