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再エネ電力を、PHV車や家庭内蓄電池などの「貯める力」と統合化するVPP実証実験、豊田市で始まる。トヨタ自動車、中部電力など4社が協力(RIEF)

2017-06-05 13:11:35

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 豊田市は中部電力、デンソー、トヨタ自動車、トヨタタービンアンドシステムの4社と共同で、市内での再生可能エネルギーの「地産地消」を実現するため、バーチャルパワープラント(VPP)の構築するプロジェクトをはじめる、と発表した。家庭や企業が所有するプラグインハイブリッド車(PHV)や蓄電池などをICT(情報通信技術)で連携させる。

 

 豊田市は地球温暖化対策として、2030年までに1990年比でCO2を30%削減するアクションプランを掲げ、地域の低炭素化推進の取り組みを行っている。今回、トヨタなど4社と行うVPP事業は、豊田市内に設置されている風力、太陽光、バイオマスなどの再生可能エネルギー電源の出力増減に合わせて、電力需要を最適にコントロールするシステムを作り上げるもの。

 

 太陽光も風力も、日照や風況などの自然条件によって発電量が変動する。これに安定的なバイオマス発電を加え、さらに、家庭や企業が保有するPHVのほか、ヒートポンプ給湯機、ビルや家庭内に最近増えている蓄電池などの「電力を貯める力」をICTで総合的につなぐことで、需給バランスを最適に調整できるシステムを作り上げる。

 

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 VPPで作り出されて地域内での消費分を上回る電力は、一般送配電事業者に売電することで、電力系統の安定化にも資することが期待されている。このため、今回のプロジェクトには、需要側のエネルギーリソースを取りまとめる役割として中部電力が加わっている。トヨタ自動車とトヨタタービンアンドシステムは、PHVや一部のビルに設置された蓄電池などのエネルギー管理を担当する。デンソーは中部電力と共同で、HEMSを通して施設・設備の空調やヒートポンプ給湯器、エアコンなどの家電の制御を担当する。

 

 豊田市は2016年10月に、地域のエネルギー・電力供給を地産地消するため、関連企業と連携して、今回のプロジェクトの土台となる「豊田市つながる社会実証推進協議会」を発足させている。プロジェクトは2020年3月まで実施する計画で、豊田市と4社は新事業の創出につなげたい考え。

 

 中部電力やトヨタなど参加企業は、豊田市のプロジェクトで得られた知見を元に、他の地域でもVPPの構築を展開することを目指すという。再エネや低公害車、省エネ技術など、これまで別々に展開・発展してきた技術・製品・サービスが、ICTによる結合で、システムとして発展することになるわけだ。

 

http://newsroom.toyota.co.jp/jp/detail/16980374/