HOME8.温暖化・気候変動 |グローバル市場での再生可能エネルギー発電の拡大続く。すでに世界全体の電力の4分の1相当の20億kW台を発電。REN21の最新報告(RIEF) |

グローバル市場での再生可能エネルギー発電の拡大続く。すでに世界全体の電力の4分の1相当の20億kW台を発電。REN21の最新報告(RIEF)

2017-06-07 14:18:36

REN1キャプチャ

 

  国際的な再生可能エネルギーネットワークの「REN21」は、最新のレポートで世界の再エネ発電能力が20億1700万kWとなり、初めて20億kW台に乗せたことを公表した。2016年中に新たに稼働した再エネ発電は前年比9%増の1億6100万kWと過去最大で、その半分近く(47%)太陽光発電だった。再エネ発電が世界の電力供給の大きな原動力になってきたことを示す。

 

 公表されたのは、REN21(Renewable Energy Policy Network for the 21th Century)の「2017年グローバル・ステータス報告書」。それによると、2016年中に増加した再エネ発電(大規模水力発電を含む)の量は同期間中の化石燃料発電のほぼ倍で、5年連続で化石燃料発電より2倍以上、上回る勢いで拡大しているという。

 

 新規再エネ発電の47 %が太陽光発電で、次いで風力発電が34%、水力が15,5%と続く。特に太陽光発電と風力発電の発電コストは急低下が目立っている。2016年中に、kWH当たり0.03米㌦での事業入札が、アルゼンチン、チリ、インド、ヨルダン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)などで相次いで実現した。

 

 風力発電も同様に価格低下が進んでいる。チリ、インド、メキシコ、モロッコなどで過去最安値での入札が記録された。特に洋上風力発電では、欧州の北海地域でのデンマーク、オランダなどによる大規模開発案件の価格低下が進み、2025年までに石炭火力よりも安い電力を発電できる可能性が高まったとしている。

 

再エネ投資の推移(REN21報告書より)
再エネ投資の推移(REN21報告書より)

 

    2016年は世界経済の成長率が3%台となる一方で、化石燃料と関連産業からのエネルギー関連CO2排出量の横ばいが続いた。報告書は、その要因として石炭火力発電等の減少とともに、再生可能エネルギーの容量増大とエネルギー効率化の改善が貢献した、と分析している。そのうえで、経済成長とCO2排出量のデカプリング(切り離し)は、2℃目標を実現するための「ファーストステップ」として重要、と位置づけている。

 

 太陽光や風力などの再エネに対しては、発電条件が自然現象に左右されることから、「火力発電や原子力発電がベースロード電源として必要」との主張が、既存電源擁護の立場から出される。しかし、この点についても、2016年中にデンマークで再エネ電力がピーク時の140%をカバーしたほか、ドイツでも同様に86.3%の再エネ率を達成するなど、「ベースロード電源」なしで再エネ電力だけで電力をまかなえる事例が増えている点を指摘している。

 

 ポルトガル、アイルランド、キプロスなどでも、再エネ電力は年平均20~30%のシェアを占め、追加的な蓄電設備などを伴わなくても安定的に電力を供給している。これらの事例から、報告書は大規模な再エネ電源を電力網に統合することで、電力システム全体の柔軟性を最大限に高めることができると評価している。

 

 ren213キャプチャ

 

 企業が消費する電源を100%再エネでまかなう「RE100」キャンペーンも世界的に広がっている。2016年には新たに34の企業が「再エネ100%宣言」に加わった。また「再エネ100%」宣言をする市町村も増加しており、特に日本では100以上の市町村がすでに「100%」を達成していると紹介されている。

 

 「気候変動とエネルギーに関する市長の誓約(Covenant of Mayors for Climate & Energy)」活動に参加している世界中の7200超の市町村は、2030年までにコミュニティのCO2排出量を40%削減することを誓約している。その手段として再エネの導入と省エネの普及をあげている。これらの市町村は世界の人口の2億2500万人超をカバーしている。

 

 途上国では依然、12億人が電力の無い生活を強いられ、27億人が清潔な調理手段に事欠いている。しかし、途上国に新たに大規模発電設備を作り、電力網を張り巡らすことは、もはや「古い手法」となっている。新たなビジネスモデルとして「オフグリッド市場」が発展しつつある。たとえばバングラデシュでは、マイクロクレジット制度を活用して、大規模な家庭内太陽光システムを400万設備も導入している。

 

 その代表的なシステムはPay-As-You-Go(PAYG)ビジネス。住民は携帯電話などで使った電力の分だけ支払うシステムだ。PATGは2012年の同システムへの投資額は300万㌦だったが、2016年は2億2300万㌦に増加している。こうした途上国のニーズに適合するシステムの導入は、東アフリカで始まり、すぐに西アフリカ、南アジアへと普及し続けている。小規模のオフグリッド、ミニグリッド市場は年間2000億㌦市場に成長しているという。2016年だけで23MW以上の太陽光や風力発電が同ミニグリッド事業として宣言されている。

 

http://www.ren21.net/status-of-renewables/global-status-report/no