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GMのバーラCEO、2050年の使用エネルギー100%再エネ化計画の前倒しを示唆。トランプ大統領の温暖化政策転換にもかかわらず(RIEF)

2017-06-11 17:02:05

GMキャプチャ

 

 米国自動車大手GMのCEO、メアリー・バーラ氏は、同社が昨年9月に公表した2050年までに世界中でのGM車の生産に使うエネルギーを100%再生可能エネルギーに切り替えるとした長期計画について「この日程はもっとスピードアップされるだろう」と述べた。トランプ米大統領のパリ協定離脱宣言にもかかわらず、GMは「脱化石燃料」を加速する考えだ。

 

 GMは昨年9月、世界59カ国に立地する350の製造工場で使用するエネルギーについて、2050年までにすべてを太陽光や風力などの再生可能エネルギー100%に切り替える計画を公表している。http://rief-jp.org/ct4/64451

 

  GMが自動車生産活動で消費する電力総量は年間9GWhに達している。従来は2020年までに再エネ電力使用を年間125MWに増やすとの量的目標を立てていたが、この目標は2016年末に達成している。今回、公表から8か月たった修正目標を再修正する可能性を示唆したわけだ。バーラ氏はGMの株主総会に先立って開いた記者会見で、「われわれは計画をもっと進めたい」と述べた。

 

 バーラ氏は明確な新目標値を示さなかったが、記者から「トランプ氏のパリ協定離脱を受けて、エネルギー転換の計画変更の可能性はあるか」と問われ、計画の変更を否定したうえで、「われわれは(気候変動の)科学を理解しており、信じている。温室効果ガスの排出量を削減し、環境にマイナスの影響を与えることを否定する行動を進めていく」と、計画を前倒しする必要性を強調した。

 

 GMの温暖化対策を正面から強調する背景には、同社が開発を進める電気自動車(EV)のシボレー・ボルト(Chevy Bolt)の優位性への自信があるとみられる。スイスの投資銀行UBSが評価したボルトの生産コストは、早ければ来年中にも従来のガソリン自動車等とほぼ同レベルになり、2023年には利益を考慮した販売ベースでも同レベルを実現できるという。http://rief-jp.org/ct4/70210

 

 これまで日本のトヨタ、ホンダなどのハイブリッド車にリードされていた「環境車」の市場で、GMが「完全なエコカー」のボルトで逆転リードできる可能性が高まっているわけだ。「気候変動に最前線で立ち向かうGM」というイメージはグローバル戦略上、重要性を増している。

 

 バーラ氏は「自動車産業は人々に自由と行動力を与える。同時に、われわれは地球の温暖化を進める温室効果ガス削減に貢献していかねばならない。そのためのステップを何があっても推進していく大きな責任を負っている。政府に対しても主張していく」と強調した。

 

 ただ、その一方で、GMを含める自動車産業は、政府に対して、2022~2025年の燃費規制について再調査を要求しており、環境団体のシェア・クラブは自動車産業の反環境的姿勢を批判している。