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ダイキン、小水力発電事業に参入。空調技術を応用して自社で発電システムを開発。水道施設と直結可能で、コスト大幅ダウン(RIEF)

2017-06-08 16:27:49

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 ダイキン工業は7日、小水力発電事業に本格参入することを表明した。小水力発電事業の子会社を立ち上げ、これまでエアコン等の空調機の開発で培った制御技術を応用して、水道管に直結できる仕組みで、河川以外の上下水道や工場内の水管理施設での運用が可能となる。導入コストの大幅に引き下げもできる。2020年度に一般家庭2万3300世帯の使用量に相当する年84000MW時を発電し、売り上げ50億円を目指す。

 

 7日付で設立された子会社は、「Dk-Power(ディーケーパワー)」社。大阪府吹田市に本社を置き、小水力発電設備の設置、運用、保守管理等を手掛ける。また小水力電力の販売電力の対価の一部を、賃料として自治体に支払う。

 

 Dk社は、ダイキンが2015年に設立した技術開発拠点「テクノロジー・イノベーションセンター(TIC)」の研究開発テーマから事業化にこぎつけた第一号案件で、Dk社は初のスタートアップ企業となった。

 

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 同社が開発した小水力発電は、ダイキンが長年にわたって空調・油圧機器の省エネ商品開発で培ったモーター技術やインバーター技術、流体解析技術を応用したもの。水車と発電機をパッケージ化し、配管に接続した水車の上に配置する縦型の構造とすることで、従来の一般的な横型マイクロ水力発電システムと比べ、設置面積が1/2、導入コストも工事費を含めて1~4割安くなるという。

 

 小水力発電は、24時間発電が可能なうえ、河川だけでなく水が流れる場所ならどこでも発電が可能なことから、有力な再エネ発電と見込まれている。ただ、導入コストがかかるのと、設置場所の確保が課題となっている。ダイキンの新システムはこうした課題克服に応える形だ。

 

 発電出力は22kW級と、75kW級の2種類。22kW級では一般家庭42軒分の電力に相当する154MW時、75kW級なら同146軒分の526MW時の発電が見込める。

 

 まだ最大の魅力は、水道施設の水道管に接続することができる点だ。このため既存の水道施設を発電に利用することができ、大規模な施設を新たに作る必要が無いという。自治体等が運営する水道施設から直接、発電できるわけだ。水を多く消費する企業の工場内の水管理施設等への導入も期待される。

 

 ダイキンはこれまでも、産官学の連携で小水力発電の開発と実証に取り組んできた。既に導入している富山県栃波広域圏事務組合水道事業や、福島県相馬地方広域水道企業団、神戸市、富山県栃波市などと事業化を目指している。また小水力発電よりさらに小規模な超小水力発電システムの共同開発も進めている。

http://www.daikin.co.jp/press/2017/170607_2/index.html