HOME10.電力・エネルギー |東電、中部電の火力発電合弁会社「ジェラ」 福島処理費は波及せず。東電の“資産避難”、ジワリと進行(東京新聞) |

東電、中部電の火力発電合弁会社「ジェラ」 福島処理費は波及せず。東電の“資産避難”、ジワリと進行(東京新聞)

2017-06-09 10:02:57

tepcoキャプチャ

 

 東京電力ホールディングス(HD)と中部電力は八日、折半出資している合弁会社「JERA(ジェラ)」にそれぞれの火力発電所と運営事業を移管し、統合する契約を結んだ。東電が福島第一原発の事故処理のために経営難に陥っても、ジェラと中部電の経営に影響が及ばないようにする措置を盛り込んだ。

 

 東電HDは子会社の東京電力フュエル&パワー(F&P)を通じて火力発電所を十五カ所(四千三百万キロワット分)、中部電は九カ所(二千四百万キロワット分)を、それぞれ保有。両社の火力発電能力は国内全体の約半分を占める。公正取引委員会の審査を経て二〇一九年四月にこれらをジェラに移管する。設備や装置を共同で購入するなどして費用を抑え、利益を増やすことが狙い。

 

 東電は福島第一原発の廃炉などのために巨額の資金を必要とするが、ジェラの利益を過度に吸い上げてしまうことがないよう、ジェラは利益のうち一定の割合を成長資金として確保するルールを決めた。割合はこれから詰める。さらに東電が財政難に陥った場合は、中部電がジェラへの出資比率を引き上げて支配権を強め、東電に資金が流出しないようにする。

 

 記者会見した中部電の増田義則副社長は「(東電など)株主の財務状況が悪化しても、ジェラの事業活動が制約を受けない環境が整ったと判断した」と語った。東電F&Pの佐野敏弘社長は「ジェラの企業価値を上げることで、東電の価値も上げたい」と話した。

 東電と中部電は一五年にジェラを設立し、液化天然ガス(LNG)を中心とする化石燃料の調達事業を統合した。経済産業省の有識者会議は昨年末に、両社の火力発電の事業も統合し、利益を増やして福島第一原発の処理に充てるよう提言。中部電は、ジェラの資金が東電に過度に吸い上げられないようにするための措置を求めていた。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201706/CK2017060902000136.html