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スウェーデン議会、2045年までにCO2排出量をネットゼロとする法律可決。政治に左右されない長期安定の気候変動政策を位置付け。トランプ大統領の米国に対抗(RIEF)

2017-06-16 08:03:20

Swedenキャプチャ

 

 スウェーデンは15日、2045年までに国全体の温室効果ガス排出量を、ネットでゼロにする目標を法制化した法律を成立させた。

 

写真は、副首相の Isabella Lovin氏と女性閣僚たち)

 

 法案は2月に副首相の Isabella Lovin氏らが議会に提出していた。今回のスウェーデン議会の投票では、賛成254票、反対41票の大差で可決された。議席を持つ8つの政党のうち7党が賛成、唯一、極右のSwedish Democrats党が反対の立場をとった。

 

 法律は2018年1月1日に施行される。同法により、政治的に独立した気候変動政策評議会(Climate Policy Council)が設立され、4年ごとに国の気候行動計画を見直し、最新化する。英国が2008年に成立させたClimate Change Actとほぼ同様の構造となっている。

 

 法制化を主導したグリーン党の気候担当スポークスウーマンのStina Bergstrom氏は「同法によって、スウェーデンは長期安定した気候政策を維持し、気候スマート社会への移行をリードすることができる」と法制化の意義を強調している。

 


 スウェーデンはこれまで2050年にカーボンニュートラルを実現する目標を掲げていた。今回の目標の前倒しと、政治的思惑を排した気候政策の立案体制の構築は、トランプ米大統領がパリ協定からの離脱を宣言したことを意識し、スウェーデンは協定順守にとどまらず、排出ゼロ目標を国際公約した形だ。

 

 スウェーデンはすでに電力部門は水力発電と原子力が主力となっており、温室効果ガスの排出量は減少している。このため今後の気候政策の中心は、自動車などの移動排出源からの排出量を抑制することに注がれる。ガソリンに代えてバイオ燃料の採用や、電気自動車への切り替えを急ぐことになる。

 

 このため今秋の予算案では、輸送部門の排出量を2030年までに、70%削減(2010年比)することを目標としたセクトラル・ターゲットを導入するとみられている。

 

 環境NGO、WWFのGareth Redmond-King氏は「今回の結果は、スウェーデンだけでなく、地球環境の将来を気に掛けるすべての人にとっての勝利だ。トランプ大統領の協定離脱宣言を受け、米国以外の世界中の諸国は、今まで以上に気候変動と戦う決意を高める必要がある」と指摘している。

 

http://www.climatechangenews.com/2017/06/15/sweden-passes-climate-law-become-carbon-neutral-2045/