HOME10.電力・エネルギー |「eシフト」ら環境NGO37団体が、「エネルギー基本政策」見直し過程の透明・民主化を要請する共同声明(RIEF) |

「eシフト」ら環境NGO37団体が、「エネルギー基本政策」見直し過程の透明・民主化を要請する共同声明(RIEF)

2017-06-18 15:39:28

eshiftキャプチャ

 

 脱原発・新しいエネルギー政策の実現を目指す環境NGOの連合体である「e シフト」は、賛同NGO37団体とともに、政府が2017年の見直し作業を進行中のエネルギー政策基本法の改定について、従来のような経済産業省主導の既得権に基づく改定でなく、透明で民主的なプロセスに基づいて実施するよう、経済産業省ら対して共同要請を行った。

 

 要請文は「エネルギー基本計画見直しに民主的プロセスと市民参加を」と題したもので、資源エネルギー庁の日下部聡長官、経済産業省の世耕弘成大臣に宛てて提出した。

 

 現行の基本計画でも、第12条で「エネルギーシフトに向か う世界や日本の現状を踏まえること」第3条で、「透明で民主的なプロセスにより、環境に適合した」ものとすることを定めている。しかし、現在、経済産業省が進める審議会を活用した議論では、東日本大震災での東京電力福島第一原発の被害が収束せず、事故処理も十分にできない状態であることへの反省が十分ではないと指摘している。

 

 東電事故後、日本以外の欧州などではドイツやスイスなどで脱原発の動きが広がっている。一方で、再生可能エネルギー発電やエネルギー効率化による省エネの技術が急速に進み、再エネ等の価格競争力が向上している。こうした傾向を受けて、企業活動で消費する電力を「再エネ100%」に切り替えることを宣言する企業も米欧を中心に増えている。

 

 何よりも温暖化対策の新たな国際枠組みであるパリ協定の締結・発効によって、世界中で再エネ、省エネの技術・努力が進展している。環境NGOらは、こうしたグローバルなエネルギー・環境需要の転換の動きを、国内のエネルギー基本計画にも取り入れるよう求めている。

 

 要請文によると、「再エネは大きく増え ようとしている。一方で、福島事故の被害は、いまだに収束せず、さまざまな形で苦しみと 被害が続いている。こうした環境下で、これからの日本のエネルギー政策をどうしていくのかは、日本に住む市民全員のくらしやいのちに 関わる、大変重要な課題。そのため、エネルギー基本計画の見直しは、可能な限り市民に参加の 道を開き、民意を反映できるしくみを構築して行われるべきだ」と指摘している。

 

 前回 2013~2014 年の基本計画見直しの際には、パブリックコメントで「脱原発」の意見が多数出された。しかし、そうした「民意」は審議会の議論には全く反映されなかった(単に、『聞く』だけのプロセスだった)。特に、 総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会は民意が反映されにくい委員構成だった、と指摘している。

 

 こうした点を踏まえて、NGOらは「(前回は)プロセスとしても大きな問題があった。 これが繰り返されてはならない」として、次の5点への対応を経産省・資源エネルギー庁に要請した。

 

 ①公平・中立な審議会構築・運営  エネルギー政策は 国民にとって重大な関心ごとであり、社会を構成するメンバーが公平・中立的に 参加し、事務局主導ではなく委員会内で深い議論を行うことができる運営とすること。産業界・経済 界に偏らず環境団体、消費者団体などのメンバーも一定割合含めること。 エネルギー政策基本法に基づき、他省庁との調整や意見交換も、審議会議論と並行して行うこと。

 

 ②情報公開・透明性の確保  どのような経緯、理由づけで政策を見直し、検討し、新たに策定しているのかを市民が知ることが できるよう、インターネット中継なども利用し、議論はすべてオープンとすること。また会合で用い られた資料、及び、検討過程で参考にしたデータや資料も全て公開すること。

 

 ③2012 年の国民的議論の参照  2012 年夏の国民的議論は、政権交代に関わらず広く市民の声を拾うことを目的として制度設計さ れていた。約 8 万 9000 件のパブリックコメントなども踏まえてまとめられた結果、および「エネル ギー・環境戦略(2012)」を参考資料として議論の前提とすること。

 

 ④可能な限り多様な市民参加プロセスの構築  議論の最終段階で実施するパブリックコメントにとどまらず、審議会の中でも環境団体や消費者団 体、若者団体などからのヒアリングや福島第一原発事故に関するヒアリングを行うなど、経済界・産 業界中心ではない、社会のさまざまな層からの意見収集を行うこと。また、公開意見交換を、福島も 含め全国各地で、できるだけ早い段階で行うこと。

 

 ⑤ここ数年で大きく変化する国内外の状況を踏まえること  議論の前提として、震災以降大きく変化する世界の現状(脱原発やダイベストメントなど)、再生 可能エネルギーのコストの低下、省エネルギーの進展など、2014 年エネルギー基本計画時からの国 内外の変化について、十分な情報収集・ヒアリングを行うこと。

 

要請文への賛同団体> 2017 年 6 月 16 日現在 37 団体

 

 国際環境 NGO FoE Japan、原子力資料情報室、気候ネットワーク、環境エネルギー政策研究所、A SEED JAPAN、国際環境 NGO グリーンピースジャパン、原水爆禁止日本国民会議(原水禁)、市民電力連絡会、 高木仁三郎市民科学基金、環境文明21、環境市民、WWF ジャパン、ふぇみん婦人民主クラブ、環境 まちづくり NPO 元気力発電所、一般社団法人大磯エネシフト、350.org Japan、NPO 法人北海道グリ ーンファンド、NPO 法人東アジア環境情報発伝所、福島原発事故緊急会議、原子力規制を監視する市 民の会、東京・生活者ネットワーク、環境まちづくり NPO エコメッセ、足元から地球温暖化を考える 市民ネットえどがわ、足元から地球温暖化を考える市民ネットたてばやし、ノーニュークス・アジア フォーラム・ジャパン、おがわ町自然エネルギーファーム、そらとも、R 水素ネットワーク、緑の党 東海本部、経産省前テントひろば、ソーラーエネルギー教育協会、くらし しぜん いのち 岐阜県 民ネットワーク、平和・人権・環境を守る岐阜県市民の声、放射能のゴミはいらない!市民ネット・ 岐阜、No nukes とエコ東農、さよなら原発・ぎふ、東海民衆センター

http://www.kikonet.org/wp/wp-content/uploads/2017/06/Energy-basic-plan-process-request170616-.pdf