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苫小牧バイオマス発電所稼働、北海道内の国産未利用材だけを燃料に。輸入PKSに依存せず。発電電力も道内で循環。自然エネルギーの地産地消を実現(RIEF)

2017-06-19 22:42:19

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 三井物産などが出資する苫小牧バイオマス発電(北海道苫小牧市)は、北海道内の国産未利用木材を燃料とする木質バイオマス発電所を稼働させた。最近増えている海外のパームヤシ殻(PKS)活用型ではなく、あくまで国産燃料に基づく自然エネルギー発電だ。発電出力は5.9MWで、約1万世帯へ供給する。北海道の自然資源を生かした「地産地消」発電となる。

 

 苫小牧バイオマス発電は、2014年の設立。三井物産が40%を出資、残りを地元林業企業のイワクラ、住友林業、北海道ガスが20%ずつ出資して設立した。同発電所は集めた木材をチップ燃料に加工した後、サイロを経てボイラで燃やし、高圧蒸気でタービンを回して発電する。道内のトドマツなど年間約6万㎥を燃料にする。

 

 燃料の未利用木材の中には、三井物産が北海道内に保有する約35,000haの社有林「三井物産の森」の未利用木材も活用する、三井物産にとってはCSR(企業の社会的責任)とエネルギー事業の融合という形になる。また発電所の運転保守管理は、物産の100%子会社の「三井物産フォーサイト」が請け負う。

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 物産の社有林の未利用木材を含め、燃料の木質チップの原料はすべて北海道内で調達する。発電した電力は、北海道ガスが調達することになる。発電と供給が北海道内で循環する地産池消型の自然エネルギー事業というわけだ。

 最近の大型のバイオマス発電には、東南アジアなどのパームヤシ油プランテーションから大量に排出される椰子殻(PKS)を輸入して燃料とするケースが増えている。ただ、PKSの場合、燃料を輸入に頼るということでエネルギー自給上の課題を克服できないうえ、プランテーションによっては不正伐採等の問題があり、生態系破壊、地域住民の生活圏を侵害する社会問題と絡む事例も少なくないとされる。

北海道の未利用材を加工した木質チップ
北海道の未利用材を加工した木質チップ

 今回の苫小牧バイオマス発電所は、そうした課題に巻き込まれるリスクを避け、長期的な視点で、北海道での循環型エネルギー開発に資する。最大出資者の三井物産は、「新規エネルギー事業を発掘し、エネルギーの安定供給に貢献していきたい」と位置付けている。

https://www.mitsui.com/jp/ja/topics/2017/1223282_10842.html