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ロシア国営石油会社ロスネフチ 北極圏ラプテフ海で初の油田確認。プーチン大統領の肝いり開発。(RIEF)

2017-06-20 16:52:15

rosnefchiキャプチャ

 

 ロシアの国営石油会社、ロスネフチ(Rosneft)は18日、北極圏の北部サハ共和国沖のラプテフ海(Laptev Sea)で、油田を初めて発見したと発表した。同開発はプーチン大統領の肝いりの開発とされ、最大規模の油田開発が見込まれている。

 

  油田の存在が確認されたのは、ラプテフ海のハタンガ(Khantanga)鉱区で、 Khara-Tumus半島の海岸の Tsentralno-Olginskaya-1号油井。海底2305~ 2363 mのところから採取した3つのコアサンプルを分析した結果、高い油分の存在を確認できたという。これまでに実施した予備的調査でも、有望な油田の存在が推測されており、今後、掘削をさらに継続する予定。

 

 ロスネフチは2015年11月に、ハタンガ鉱区での開発許可を得て、試掘作業を続けてきた。今年の4月3日、プーチン大統領は、同油井での掘削作業の開始に際して、「予備的調査によって、大規模油田開発のスタートが予感されている。 Tsentralno-Olginskaya-1号油井はその最初の井戸だ。作業が成功することを期待する」と強い願望を示していた。

 

 Laptevキャプチャ

 ロスネフチは現在、北極圏内で28箇所の掘削許可を得ており、それら全体の資源量は340億㌧(石油換算㌧)と推計されている。ラプテフ海域での潜在埋蔵量は95億㌧とみられている。ロシアが保有する北極圏全体の埋蔵石油量は、2050年までにロシア全体の石油生産の20~30%を占めるとみられている。

 ロスネフチはパートナー企業とともに、2012年以来、これまでに北極圏域でのエネルギー開発に1000億ルーブル(約17億㌦)を投じてきている。今後も投資のペースを落とさず、2017~21年にかけて、これまでの2.5倍の2500億ルーブル(約43億㌦)を投じる計画だ。

  

 同社は北極圏を中心とするロシア海洋開発で、これまで米エクソンモービルをはじめとする世界の石油大手数社との提携を模索してきた。エクソンとは、今回、油田埋蔵が確認されたラプテフ海の西側のカラ海での共同開発を目指していた。しかし、ロシアによるウクライナ問題で欧米が対ロ制裁を実施したため、2014年に、エクソンとの共同開発は中断している。

 

 プーチン大統領とカラ海開発で合意した当時のエクソンCEOのティラーソン氏は、現在、トランプ政権の国務長官。今回のラプテフ海の開発の進展具合で、米ロ共同開発が再び現実化する可能性もある。

 

 北極圏での石油等のエネルギー開発は、温暖化の進展で開発期間が長くなるなどのメリットが生じている。半面で、北極の生態系破壊を促進する懸念も出ている。米国はオバマ前政権時代に、米国領の北極圏での掘削事業を認めない方針をとっていたが、トランプ政権は政策転換の姿勢を打ち出している。

 

https://www.rosneft.com/press/releases/item/186997/