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WWFの業種別温暖化対策調査「小売・卸売業」 1位はイオン、以下、ローソン、日立ハイテクノロジーの順。全体に取り組み姿勢の低さが判明(RIEF)

2017-06-23 15:40:48

WWFキャプチャ

 

  世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)は、日本の産業別の温暖化対策を評価・ランキングする活動の第4 弾として「小売業・卸売業」の54社の評価結果を発表した。もっとも温暖化対策に取り組んでいると評価されたのはイオン。ついでローソン、日立ハイテクノロジーズの順。ただ、一位のイオンの点数は61.1点で、これまで3回の業種別スコアの最高点が80点以上だったのと比べて、20点も低く、小売・卸売業全体の取り組みレベルの低さを示している。

 

 WWFはこれまで、「電気機器」(50社)、「輸送用機器」(28社)、「食料品」(25社)を対象とした業種別温暖化対策の評価とランキングを公表してきた。評価対象は各社が公表する環境報告書やCSR報告書のデータを活用した。

 

 重要7指標として、①長期的なビジョン②削減量の単位③省エネルギー目標④再生可能エネルギー目標⑤目標の難易度⑥ライフサイクル全体での排出量把握・開示⑦第三者による評価、の各項目を定め、それらを中心に21の評価指標をスコアリングした。

 

 今回の評価では総合点でイオン(61.1点)が第1位となり、 ローソン(57.3点)、日立ハイテクノロジーズ(54.5点)、キヤノンマーケティングジャパン(53.8点)、以下、ヤマダ電機、伊藤忠商事、セブン&アイ・ホールディングスと続く。

 

WWF1キャプチャ

 

 小売業・卸売業の平均点は、34.5点。過去の3業種(電気機器48.7点、輸送用機器46.7点、食料品44.8点)を大きく下回った。1位のイオンを含めて、長期目標(ビジョン)を掲げている企業は1社もなく、総量および原単位の両方で排出削減目標を掲げる企業も1社もない状況。再エネ導入目標を立てている企業はわずか1社だった。

 

 業界全体の特徴として、環境報告書類を発行している企業が少ないことも判明した。環境報告書類を正式に作成していたのは、全54社のうち半数以下の21社(これ以外に、8社がアニュアルレポート類を環境省などのガイドラインを参考に作成していたため、計29社が評価対象になった)。過去3業種は9割前後の企業が環境報告書類を作成している。このためWWFは、小売・卸売業の課題として「環境コミュニケーション」をもっと活発に行う必要がある、と指摘している。

 

 ただ、自社の温室効果ガスの排出量データに対し、第3者機関による保証を受けている企業の割合は34%(29社中10社)と高めであり、排出量データの信頼性を高める取り組みは過去の3業種よりも進んでいた。

http://www.wwf.or.jp/activities/data/20170623_climate01.pdf