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年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)、ESG評価の日本株投資を3兆円規模に拡大。MSCIなどの3株価指数を選定(各紙)

2017-07-01 21:04:13

GPIFキャプチャ

 

  各紙の報道によると、公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、環境・社会・ガバナンス(ESG)を重視した企業株を選択的に投資するESG投資を3兆円規模に拡大する。すでに6月までに1兆円を投資しているが、これを3~5年かけて増やす方針という。GPIFの日本株投資の約1割をESG投資とする。

 

 日本経済新聞が報じた。GPIFはESG投資を促進するための指針となる株価指数を公募していたが、このほど、米指数算出会社MSCIと英FTSEが作った3指数を選んだ。今後、これらの指数に基づいて、ESG活動に優れ、かつ投資リターンも期待できる投資先を300社程度と選んで投資することになる見通し。

 

 GPIFの現在の日本株投資額は約30兆円。主に東証1部に上場する全企業を対象にした東証株価指数(TOPIX)を中心に投資してきた。今後は、このうち約1割に相当する3兆円分をESG投資に移すことになる。

 

 ESG投資の対象業種としては、再生可能エネルギー事業や省エネ、グリーンビルディングなどを展開する企業、教育、医療・健康ケアなどの社会的ビジネスなどが想定されるほか、業績が良くても企業統治に問題のある企業などは対象外になる可能性がある。

 

 欧米の主要年金基金等の機関投資家はESG投資を基本投資戦略に据えているところが少なくない。GPIFは15年9月に国連が支援する責任投資原則(PRI)に署名、昨年11月には水野弘道CIOがPRIの理事に就任するなど、国際的にもその存在と、責任投資の実践が期待されていた。

 

 このほどGPIFが選定した3つの指数は、いずれも過去5年間の運用成績は市場平均を上回っている。組み入れ企業は延べ600社超に達する。これらから重複投資先を除いた300社程度が、ESG投資の対象銘柄になるとみられる。

 

 PRIへの署名機関は1753機関、このうち年金等の資産保有機関は349機関(7月1日時点)で、運用総額は60兆㌦を超えている。また、世界の SRI (社会的責任投資)運用資産額のうちESG運用は 2014 年初で約 21 兆㌦との推計もある。

https://www.unpri.org/

http://www.gpif.go.jp/