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IHIとNEDO。100kW級の海流発電システムの実証実験としては世界初となる「かいりゅう」の実験を来月、開始。鹿児島県沖の黒潮海域で発電力を試す(RIEF)。

2017-07-09 23:16:25

IHI2キャプチャ

 

  IHIと国立研究開発法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)」は、海流エネルギーを利用して発電する水中浮遊式海流発電システムの100kW級実証機「かいりゅう」を完成させた。今夏、同機を使って、鹿児島県沖の黒潮海域で実証実験を行う。100kW規模の海流発電の実証実験は世界初、という。

 

 IHIとNEDOが共同開発した「かいりゅう」は、定格発電出力が約100kW(50kW×2基)、タービン直径は約11m、浮体のサイズは長さ約20m、幅約20m、定格流速が1.5m/秒(3ノット)で、浮遊深度は約30m~50m、と設計されている。

 

IHI1キャプチャ

 

 海底に設置した錘(シンカー)から、この「かいりゅう」を海中に係留し、海流の流れによって、設備のタービン水車を回転させて発電する仕組み。

 

 周囲を海に囲まれている日本は、豊富な海洋エネルギーを活用できる有利なポジションにある。海洋エネルギーには、海流、潮流、波力、海洋温度差利用等、様々なタイプがある。いずれも再生可能エネルギーの中では昼夜や四季による変動が少なく、安定的かつほぼ無尽蔵に発電できる潜在力を持つ。

 

「かいりゅう」の海中での設置イメージ
「かいりゅう」の海中での設置イメージ

 

  NEDO等では、今回の実証実験で、離島などでの実用化を目指す手がかりを得るとともに、将来的なエネルギーセキュリティーの観点からの安定的かつ、大規模な開発への知見の獲得を目指している。一方、IHIは発電性能や姿勢制御システムを検証、海流エネルギーを有効かつ経済的に利用する水中浮遊式海流発電システムを2020年に実用化することを目指す、としている。

 

 NEDOは、2011年度から海流エネルギー発電の研究開発に取り組んでおり、今回の実証実験で活用する100kW級実証機の完成で、海流発電の技術的な開発はほぼ完了した、としている。

 

IHI4キャプチャ

 


 実証実験は、鹿児島県沖の十島村口之島沖の黒潮海域で8月中旬から1週間程度の予定で行う。実証実験の前に、同県いちき串木野市の串木野港沖合で、7月下旬から1週間程度、曳航試運転を行う。港湾沖で装置を船で曳航することで、黒潮に模した海流を発生させて、装置の稼働状況を調べる。

 

 その後、口之島沖で本格的な実証実験に移る手順だ。同海域は、内閣府総合海洋政策推進事務局の海洋再生可能エネルギー実証フィールドに選定されている。黒潮が流れる口之島北側海域の沖合の約5km、水深100mの地点に、機器を設置する。

 

 水中浮遊式海流発電システム「かいりゅう」の名称は、十島村の小中学生から公募した中から十島村村長が選んで、命名した。

 

https://www.ihi.co.jp/ihi/all_news/2017/technology/2017-7-07/index.html