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太陽光事業者の倒産、今年上半期は前年同期比2.2倍と急増。年間でも100件台の可能性。FIT制度の相次ぐ修正が影響(RIEF)

2017-07-11 17:16:09

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 帝国データバンクのまとめによると、今年1~6月の太陽光発電関連の倒産件数は50件と前年同期比2.2倍に急増した。固定価格買い取り制度(FIT)の見直しで、事業の展望が得られないところが増えたためとみられる。同社では年間を通しても増加し、100件台に乗る可能性もあるとしている。

 

 太陽光発電事業は、2012年のFIT制度導入で全国的に増えた。だが、制度の軸である買い取り価格が毎年引き下げられてきたことから、2014年以降、倒産件数は増加基調となっている。今年度からは、 電力会社と契約していない発電事業者の認定を大量に失効させる改正FIT法が施行され、買い取り価格も引き続き段階的に引き下げられることから、事業者の倒産のペースが加速している。

 

 太陽光関連の倒産件数は、2014年が21件(負債総額44億8200万円)、15年は36件(91億2700万円)、16年は67件(333億2800万円)と、増加の一途を辿っている。今年上半期はすでに前年全体の7割以上の倒産件数となっている。同期の負債金額は203億7900万円で、前年同期比3.4%増と小幅な伸び。これは前年同期に日本ロジテック協同組合(負債総額162億8200万円)の大型倒産があったため。

 

 2006年1月から17年6月までの総倒産件数は、251件、負債総額は1061億円と、1000億円を超えた。倒産の中身では、「破産」が全体の94.0%に相当する236件、民事再生法が8件、特別清算7件となっている。会社更生法の適用はゼロ。

 

 地域別では、もっとも倒産件数が多いのは関東地方で95件(構成比37.8%)と、全体の3分の1を占める。2位の中部地方の42件(16.7%)の倍以上となった。電力大量消費地の東京に近いことから、事業が集中したとみられる。3位は近畿地方で34件(13.5%)。

 

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 倒産企業を負債規模別にみると、「1億~5億円未満」が99件で、全体の39.4%を占めて1位。次いで、さらに小さい「1000万~5000万円未満」が80件(31.9%)、「5000万~1億円未満」が36件(14.3%)を占めている。負債額が5億円に満たない事業者が全体の85.7%を占めている。

 

 中小企業の倒産が目立つのは、FIT制度によって、太陽光を設置する場所さえ確保できれば、売り上げに当たる売電収入が保証されていることから、小規模事業者でも参入できるとの「制度的魅力」が大きかったためとみられる。しかし、発電事業には既存電力網への接続問題が大きいほか、「魅力」のはずの売電価格が毎年引き下げられ、事業を十分に展開できないまま倒産する企業が相次いだ。事業者の甘さに加えて、FIT政策の「設計ミス」も影響したと言わざるを得ない。

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p170702.pdf