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トヨタと神奈川県、横浜市など。風力発電の電力で水素製造の燃料電池車システム整備。13日から本格稼働。乗用車だけでなく工場・商業施設で低CO2の燃料自動車利用を促進(RIEF)

2017-07-13 13:05:05

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 トヨタ自動車は神奈川県や横浜市などと共同で、風力発電での電力で水を電気分解して水素を製造、それを貯蔵・圧縮し、利用するシステムを整備、公開した。製造した水素は、簡易水素充填車で輸送し、横浜市内などの青果市場や工場などで使用する燃料電池フォークリフトに活用する。風力の電力を使うため、水素製造時のCO2排出量もゼロとなり、低炭素な水素サプライチェーンモデルとなる。

 

 プロジェクトに参加しているのは、トヨタ、神奈川県、横浜市のほか、川崎市、岩谷産業、東芝、豊田自動織機、トヨタタービンアンドシステム、日本環境技研の各機関。環境省の委託事業で2015年度からの4か年計画で事業費20億円を投じている。

 

 これまでの燃料電池車は、自動車運行に際してはCO2排出量はゼロとなる。だが燃料となる水素は化石燃料から作るケースが多い。これを水素製造もCO2ゼロの風力発電を利用するほか、水素貯蔵と、乗用車以外の工場等での作業車に応用するシステム化を目指している。13日から稼働した。

 

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 風力発電は、横浜市ハマウィングの横浜市風力発電所を利用する。その敷地内に、発電した電力を利用して水を電気分解する設備と、低炭素の水素を貯蔵・圧縮するシステムを整備した。

 

 水素の製造に使う風力発電の電力は、風況によって変動し、水素需要とも時間差が生じる。このため、設備を最適運転できるマネジメントシステムを導入し、需給変動を柔軟に調整できる体制としている。水素を安定供給するために、2日分の水素を貯蔵する。貯蔵には、ハイブリッド自動車の使用済バッテリーを再利用する。

 

 製造した水素は、岩谷産業が開発したハイブリッドの簡易水素充填車(4㌧積)で、横浜市内や川崎市内の青果市場や工場・倉庫など4カ所に運び、燃料電池フォークリフトを稼働させる。豊田自動織機が開発した燃料電池フォークリフトは、3分の充電で約8時間の稼働が可能。従来のバッテリー方式の場合、充電に6~8時間を要していた。

 

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 こうした地域と一体となった水素サプライチェーンの構築により、従来の電動フォークリフトやガソリンフォークリフト利用時と比べて、80%以上のCO2削減が可能になるという。燃料電池車の市場として工場や事業・商業設備を開発することを目指す。

http://newsroom.toyota.co.jp/jp/detail/17737432/