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飯田GHDと大阪市立大学。人工光合成技術で、住宅でCO2から水素エネルギー。省エネではなく「創エネ」でエネルギー自給自足住宅の実現へ(RIEF)

2017-07-13 15:43:12

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   分譲住宅最大手の飯田グループホールディングス(東京・飯田GHD)と大阪市立大学が共同で、CO2を使った人工光合成技術によて家庭のエネルギーを完全に自給自足するシステムを開発した。年内に実証実験を沖縄の宮古島で実施し、2020年の実用化を目指す。CO2排出量を削減する省エネとは異なり、CO2を「燃料」として環境負荷ゼロのエネルギーを生み出すことになる。

 

 飯田GHDと大阪市大の人工合成研究センターは、2015年から共同研究に取り組んでいる。今回「IGパーフェクトエコハウス」の建設発表にこぎつけた。人工光合成は、植物の光合成のように、CO2と水を太陽光で反応させることで、酸素と有機エネルギーを抽出する仕組み。共同研究では、CO2から水素を安定的に貯蔵できる「ギ酸」を生成・貯蔵する仕組みと、それらの生成水素から高効率で発電する技術を開発した。

 

 現在、一般的な住宅の屋根に設置する太陽光発電の場合、日照条件によって発電量が変動する。発電量の安定性を確保するには蓄電池がいるほか、充電電ロスなどの不経済な要素がある。これに対して、人工合成の場合、太陽光エネルギーで生成したギ酸をタンクに貯蔵し、電気が必要な時にギ酸から水素を生成発電するプロセスをとるため、安定発電が可能となる。CO2は大気中から自由に取り入れるため、CO2削減のシンク(吸収源)効果もある。

 

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 課題は、高効率でのギ酸の生成と、生成水素からの高効率発電という二つのプロセスでの効率性の確保にあった。共同研究では、まずギ酸生成について、酸化チタンの薄膜基板の上に、色素・ビオローゲンを触媒として使うデバイスを作成した。従来のものよりも、約12倍も生成効率が向上したという。

 

 生成したギ酸は専用タンクに貯める。放電する電気エネルギーと異なり、ギ酸は半永久的に保存が可能で、その分、発電効率が高まる。発電に際しては、水素生成装置でギ酸を白金微粒子等を使った別の触媒と掛け合わせて、水素を生成する。その後、水素発電装置に移された水素は酸素によって分解され、電気と熱が発生する手順となる。

 

 一般の太陽光発電に比して、ギ酸は保管に適しており長時間エネルギーを貯蔵できる利点がある。このため、災害などで停電した場合や太陽が顔を出さない日が何日も続いても、ギ酸による光合成を組み合わせた水素発電の場合は安定的に電力を供給できる。

 

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 実証実験は年内に宮古島の「来間島リゾート(仮称)」で行う。同地区は、2015年末から飯田GHDの関連会社により工事が進められており、1軒1室のコテージを101軒建てる計画。敷地は東京ドーム2個分の広さで、敷地内に実験施設を建てる。各戸で、一般家庭が1日に消費する平均電力使用量10kWhの発電を確保することが目標。

 

http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1494707