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2017年の北極海の海氷域面積、観測史上2番目に縮小の見通し。8月中旬には北極海北東航路開通へ。ウェザーニューズ社が観測(RIEF)

2017-07-13 22:20:40

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 株式会社ウェザーニューズ(千葉市)は13日、2017年の北極海の海氷傾向を発表した。今夏の北極海の海氷は、例年を上回るペースで融解が進み、最小面積は観測史上2番目に小さくなる見込み。北極海の北東航路(ロシア側)は8月中旬、北西航路(カナダ側)は9月上旬に開通する見通しとしている。

 

 (写真は、北極海の海氷分布(2017年7月13日時点)と過去の航路開通期間(緑色部分)および2017年の予想開通期間(赤・黄色部分)

 

 同社の観測によると、北極海の海氷域面積は現時点で800万㎢。例年を上回るペースで海氷の融解が進んでいる。このままのペースが続くと、9月中頃には390万㎢まで縮小し、観測史上最小を記録した2012年の328万㎢に次ぐ、2番目に小さい面積になるとみられている。

 

 特に、ロシア沿岸域での融解の進行が速いという。チュクチ海ではベーリング海峡を中心に記録的な速度で開水域が広がっている。昨年末からの冬~春にかけて海氷の流動が強く、海氷が融解しやすい状況になっていたことが原因と考えられると指摘している。

 

 一方で、カナダ沿岸域やグリーンランド周辺では海氷が例年以上に残り、この時期としては厳しい氷況となっているところもある。その理由の一つには、地球温暖化の進行によって北極海の海氷が長期的に減少する傾向にあり、以前よりも流動的になっていることから、高緯度域からこれらの地域に海氷が流れ込みやすい状況になっているという。

 

 同社では今後も海氷の融解が続くとみている。ロシア沿岸域では8月中旬までに開水域が東西でつながり、北東航路は開通が遅れた昨年と比べて1カ月早く開通する見込み。カナダ沿岸域でも、9月上旬までに大半の海氷が融解し、北西航路が開通する見込みだ。

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2012年以降の海氷域面積推移(年別)
※2017年の点線は予想北極海の海氷分布(2017年7月13日時点)と過去の航路開通期間(緑色部分)
および2017年の予想開通期間(赤・黄色部分)

 

   ロシアのNSRA(The Northern Sea Route Administration)によると、今年、ロシア側の北東航路の通航許可を得た航海数はすでに390を超え、昨年と同様のペースとなっている。

 

 同社は、7月14日に超小型独自衛星「WNISAT-1R」を打ち上げ、海氷分布を詳細に把握することで、船舶の安全運航の情報支援を行うとしている。

 

https://jp.weathernews.com/news/17186/