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川村隆東電会長、東電福島第一原発の「トリチウム汚染水」の海洋放出を是認発言。原発の国有化にも言及(各紙)

2017-07-14 12:33:27

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 各紙の報道によると、東京電力の川村隆会長は、福島第一原発で高濃度汚染水を浄化した後に残る放射性物質のトリチウムを含む処理水を巡り、「(東電として)判断はもうしている」「(放出は)科学技術的には正しいと思っている」などと述べ、海洋放出を是認する考えを明言した。トリチウム汚染水の放出については、風評被害を懸念する地元の漁業関係者らが反対し続けている。

 

 川村会長は、報道各社との記者会見において同様の趣旨の発言をした。東電の経営トップが公式の場で海洋放出に言及するのはこれまで例がなかった。原子力規制委員会は、一定濃度以下で海に流しても魚や人体に影響は及ばないとして、海洋放出の見解を示している。

 

 しかし、地元の漁業者などからは、「風評被害が再燃する」との反発が強く、合意を取り付けることは容易ではない。現在は、経済産業省で有識者による検討委員会で議論をしているが、同省は批判を受けるのを懸念して結論を出していない。一方の東電も、放出には国の指示がない中で自社で決定すると、社会的批判を受けるとの懸念が根強く、川村会長も「事故の当事者である東電の意見だけでは、だめという人もいる」と社内事情に触れた。

 

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 また川村会長は、原子力規制委員会の田中俊一委員長が東電に海洋放出を求める姿勢を続けていることに対して、「大変助かる。委員長と同じ意見だ」と語った。

 

 ただ、原子力規制委の中にも「国の委員会の結論が出ないことで、東電は救われている」(今月10日の会議で更田豊志委員)などの指摘もある。東電が、地元住民らとの厳しい交渉を避け、政府任せにしてきたことに対する不満だ。

 

 福島第一原発1~3号機は、事故で溶け落ちた原子炉内の核燃料を冷やすために圧力容器に注水を継続している。この水が高濃度汚染水となって大量に排出されている。トリチウムは東電が設置している浄化設備では除去できない。

 

 運転中の原発などの場合もトリチウムは発生するが、各電力会社は法令基準以下に薄めて海に放出している。東電福島第一原発の場合、「汚染水」として敷地内のタンクに保管している。保管量は7月6日現在、約77万7千㌧で、タンク数は約580基に上る。

 

 川村氏会長は「国の委員会の結論を待って次の展開をすることは致し方ない」と話し、トリチウム汚染水の海洋放出の決定については、引き続き政府の決定を待つ考えを示した。また「国というか県というか、いろんな方が支援していただかないとがんばりきれない」とも述べ、放出に当たり福島県の理解を求めた。

 

 

 

 また同会長は、原子力発電の体制について、「国策会社にする案はあり得ると思う」とも述べた。「民間にやらせるとしても、国の意向が随分と入り込む。そういう意味から国営という考え方もある。まだ、そうした検討はされていないと思う」などと語った。

 

 トリチウムは弱いベータ線を出す放射性物質で、水素の放射性同位体。半減期は12.3年。人体への影響は小さいとされる。三重水素とも呼ばれ、自然界に存在するほか、原子炉内の核分裂などによっても生じる。水と性質が似ているため、東電福島第一原発の汚染水から放射性物質を取り除く多核種除去設備(ALPS)でも除去できない。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201707/CK2017071402000135.html

https://jp.reuters.com/article/interview-tepco-idJPKBN19Y2CS?sp=true