一般社団法人環境金融研究機構 | Research Institute for Environmental Finance: RIEF

　企業の気候関連財務情報をオンラインで無料検索できるサイトが米国で誕生した。Envonetで、金融安定理事会（FSB）の気候関連財務情報開示タスクフォース（TCFD）が先月公表した最終報告の枠組みに沿って、電力、石油・ガスなどのグローバル上場企業を40社リストアップしている。

　Envonetは米国の環境金融情報開示分野の専門家として知られるGreg Rogers氏によって運営されているフリーサイト。FSBのTCFD報告書はG20の付属文書の中で、自主的な情報開示の手段として普及が求められている。

　Rogers氏は「投資家は、気候変動が投資先企業の重要なリスクやリスクマネジメントの実績にどう影響するのかという情報の高い透明性を求めるようになっている。しかし、投資家がそうした情報を集めるための簡単な方法が存在していない。このサイトではグローバルに投資対象となる企業の気候変動対応について、横比較ができるように情報の一覧性を高めた」と説明している。

　Envonetが開示する気候関連財務情報は、対象企業のガバナンス、戦略、リスクマネジメントと実績評価の4分野での情報開示が、主要な財務報告書（米国のSEC基準の10-Ks）でどう扱われているかを紹介している。また気候関連情報に加えて、資産の環境減損情報、資産除去債務（ABO）などの環境債務情報も、財務諸表から抜き出して記載している。

　現在のところ、リストアップされているのは、グローバルな電力、石油・ガスなどの温暖化ガス排出量の多い産業に限定している。電力では、 American Electric Power, CLP Holdings, Dominion Resources, DTE Energy, Edison International, Enel, Entergy, Eversource, Exelon, FirstEnergy, Fortis, Iberdrola, NextEra Energy, PG&E, Power Assets Holdings, PPL, Public Service Enterprise Group, Southern Company, SSE, and Xcelなどが名を連ねている。

　石油・ガス産業では、Anadarko, Apache, BP, Canadian Natural Resources, Chevron, Concho Resources, ConocoPhillips, Devon Energy, Eni, EOG Resources, Exxon Mobil, Marathon, Occidental, Phillips 66, Pioneer Natural Resources, Royal Dutch Shell, Suncor Energy, Total, Valero, and Woodside Petroleumなど。日本企業はどちらにも計上されていない。

　現時点では、対象各企業の気候関連財務情報の開示が十分ではないので、空白の項目が多いが、対象企業の中にはFSBの報告を支持することを宣言した企業も含まれており、自発的な情報開示の場になる期待もある。Envonetの情報を閲覧するのは無料だが、閲覧に先立って登録が必要になる。

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