HOME8.温暖化・気候変動 |温暖化の加速で、アラスカの森林地帯が「砂漠」に変貌(!)。温暖化加速要因にも(各紙) |

温暖化の加速で、アラスカの森林地帯が「砂漠」に変貌(!)。温暖化加速要因にも(各紙)

2017-07-18 11:04:11

araska1キャプチャ

 

  米アラスカ州の北極圏に近い森林地帯に、異様な形をした「砂漠」が相次いで出現している。原因ははっきりしないが、地球温暖化の進行で、永久凍土が解けて形成された池が乾燥し、風化した可能性があるという。われわれが気付かないうちに、我々が引き起こした温暖化が加速し、自然は急速に変貌を遂げているようだ。

 

 朝日新聞が伝えた。現地ではこうした森林地帯で発生する地形を「デューン」と呼んでいる。デューンが出現するのは、アラスカ州西部のノームから東へ約400kmの永久凍土地帯。空からの観測によると、直径数kmの円形の「砂漠」が東西に並び、中心から外側に向けて巨大な段々畑のようになっている。段差は一つが数mの規模。同紙は、砂漠に森が飲み込まれているようだ、と伝えている。

 

 周辺はもともと砂が多く、年間降水量は300mm程度と少ない。アラスカ大のウラジミール・ロマノフスキー教授の説明によると、何らかの原因で凍土が解け、当初は池などが広がる。その後、水は蒸発したり、保水力の低い土壌から流出するなどで、徐々に乾燥し、さらに風化が進んで元の森林に戻らず、砂漠化したとみられる。

 

araska4キャプチャ

 

 米地質調査所の調査では、デューンは年間数10cmずつ広がっているという。すでに1950年代からその存在が知られていたが、温暖化と永久凍土の変化の関連から注目され、最近、研究が本格化している。永久凍土の融解がすすむと、CO2のほか、温室効果がCO2よりも高いメタンガスなどが放出され、温暖化をさらに加速させる悪循環が進む可能性がある。

 

 

 日本大などの調査では、人間が温室効果ガスの排出を抑えても、こういった北方林やツンドラから発生する温室効果ガスは、今世紀中に計約400億㌧(CO2換算)にのぼると試算されている。これは人間が1年間に排出する温室効果ガス量に匹敵する。

 

araska2キャプチャ

 

 温暖化で植生も変化する。森から草原へ移行したり、デューンのような砂漠地帯が増えると、温室効果ガスの排出量が増える一方で、温暖化の進行で降水量が増えると、植物の成長が促されて、CO2吸収力が高まる地域も出る可能性もあるという。

 

 アラスカでは永久凍土の融解が進行したことで、市民生活にもすでに影響が出ている。同州第2の都市、フェアバンクスの市内の道路は波を打ったようにデコボコになっているところが多い。これは、凍土が地下に均一にあるわけでないことや、解け方も日照や植生で変わることなどで、地下の凍土の解け方が異なり、道路の陥没などが生じるためという。

 

 アラスカでは全体の約38%の表土の近くに永久凍土層があり、今世紀中に最大で4分の1が失われるとの予測もある。米環境保護庁やマサチューセッツ工科大学などの試算では、同州のインフラ整備には今世紀末までに州全体で少なくとも23億㌦、米アラスカ大とコロラド大の試算では、最低でも2080年までに約56億㌦が必要という。

http://digital.asahi.com/articles/ASK7J7TC5K7JULBJ00J.html