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南アフリカのケープタウン市、途上国・新興国で初のDivestment宣言。初のグリーンボンドも10億ランド発行。投資家から4倍以上の超過応募(RIEF)

2017-07-21 23:45:47

divest1キャプチャ

 

  南アフリカのケープタウン市は、市の財政資金の運営において、化石燃料関連企業等への投資を引き揚げるDivestmentに踏み切ると宣言すると同時に、初のグリーンボンドを10億ランド(85億円)分発行した。自治体レベルでのDivestment宣言はアフリカで初めて、またBRICSの新興国としても初めて。

 

 同市のPatricia De Lille市長はこのほど演説し、過去5年間を通じ、市の財政について、クリーンで、不正・腐敗とは無縁、かつ健全な運営を続けてきたことを強調した。そのうえで、 「財政運営の健全化をさらに高めるため、持続可能な未来に向けたわれわれのビジョンに沿い、よりグリーンで、よりクリーンな投資を優先し、化石燃料資産や同関連企業への投資から撤退するよう指示した」と胸を張った。

 

 また、 市がインフラ投資等のために運営するファンドでも環境負荷が大きく、持続可能性を欠くプロジェクトには資金を投じない、とも言及した。市長は、こうした資金運営の見直し方針について、「民間の投資家を先導したい」とも語った。

 

 南アフリカでは気候NGOのFossil Free South Africa や350.orgなどが、昨年末以来、同市を対象としてDivestment運動を展開してきた。350.orgのキャンペーン担当のAhmed Mokgopo氏は「ケープタウン市がDivestment活動で倫理的リーダーシップを発揮したことを称賛する。市には、Divestmentを実施する明確なスケジュールも示してもらいたい」と指摘。他の国や自治体の追随への期待を高めている。

 

 Fossil Free South Africaのコーディネーター、Davido Le Page氏も「途上国として最初の『Divestment City』に名乗りを上げた決断を歓迎する。南ア全体ではまだ石炭火力への依存度が高い。ケープタウンの動きは、南ア全体の変革をリードするだろう」と述べている。

 

 一方、よりクリーンなプロジェクトやインフラ投資のために、同市が初めて発行した10億ランドのグリーンボンドには、29の投資家から43億ランド分と4倍以上の超過応募があった。利回りは同国国債より1.33%上乗せしたレベル。民間投資家が「グリーンな投資資産」を積み上げたいという強い意欲の表れといえる。

 

 南アは現在、気候変動の激化による厳しい干害に見舞われ、深刻な水不足に陥っている。市長が温暖化を加速する化石燃料産業からのDivestmentを宣言し、よりグリーンな資産を増やすグリーンボンドに対して、投資家も強い投資意欲を示すなど、アフリカも着実に気候変動に正面から向き合うようになってきたようだ。

 

 350.orgなどによると、化石燃料関連産業から投資資金を引き揚げるDivestment運動は、グローバルに広がっている。現時点で700以上の機関投資家など投資判断に盛り込んでおり、それらの投資家資金の総額は5兆㌦以上に達している。

https://gofossilfree.org/commitments/

https://fossilfreesa.org.za/

http://www.capetown.gov.za/media-and-news/City%20commences%20investor%20road%20show%20to%20promote%20inaugural%20R1%20billion%20green%20bond