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環境省。環境インフラの海外展開促進で「基本戦略」策定。官民連携でトップセールスも推進。インフラ輸出に伴う住民との対話等にはほとんど言及せず(RIEF)

2017-07-26 18:58:51

MOE1キャプチャ

 

   環境省は、日本の環境技術・ノウハウ・制度を途上国に展開するための、官民共同の「環境インフラ海外展開基本戦略」を公表した。すでに進めている途上国の温暖化対策への技術・資金支援のJCMプロジェクトに加え、廃棄物・リサイクル分野でのインフラ輸出を促進する体制を強化するとしている。ただ、インフラ輸出に伴い現地住民やコミュニティとの対話等の必要性についてはあまり触れられていない。

 

 環境省が環境インフラ海外展開の基本戦略をまとめたのは、政府として5月末に「インフラシステム輸出戦略」を策定したことを受けたもの。同輸出戦略においては、従来からの温暖化対策での緩和分野のほかに、廃異物分野が新たなインフラ分野として位置づけ、途上国での環境インフラ分野に戦略的に取り組むことをうたっている。

 

 環境省の「海外戦略」は基本方針として、個々のプロジェクト形成・実施の支援のほか、関連する制度設計や研修等の人材育成・能力開発の支援などを一体的なパッケージとしてとらえ、対象事業および民間事業者を支援するとしている。対象は広く途上国だが、特に都市化の進展で環境インフラニーズが顕在化している東南アジアを重視する。南アジアや中東などでは、各国の法制度や社会システム等の導入も手掛けるとしている。

 

  主要施策としては、2国間政策対話や地域フォーラムを活用して、環境省がトップセールスを行うほか、JCMプロジェクトや政府関係機関との連携等を活用して、制度構築から技術、ファイナンスの提供までのパッケージ支援を行う。また、民間企業や自治体、他省庁、国内外の援助機関等とも連携し、「日の丸連合」を組織する。こうした施策を担当するため、省内の「環境インフラ海外展開タスクフォース」が横断的な対応を図るとしている。

 

 分野別では、気候変動の緩和策では、これまでのJCMを活用した「JCMパートナー国 」のほか、その他の国にも日本の低炭素技術の普及を図るために、国際的な「緑の気候基金(GCF)」やGEFなどの外部資金も積極活用する、としている。同適応策では、自然災害に対するインフラ技術や、早期警戒技術などの展開を目指す。また海外展開する民間事業者への気候変動リスク等の情報を提供する「アジア太平洋適応情報プラットフォーム(AP-PLAT)を、2020年までに整備する。

 

 廃棄物・リサイクル対策では、都市化が進むアジア諸国を中心に、民間事業者による相手国での事業実現可能性調査(FS)の支援や、モデル事業の展開、JCMスキームの活用などを盛り込んでいる。廃棄物対策において、「住民理解形成」に一言触れているものの、事業者への研修や能力強化などへの言及にとどまり、住民との「対話」については触れていない。また環境アセスメントについては分野のひとつとしているあげているが、アセスメント関連産業のアジア進出支援に力点が置かれている。

http://www.env.go.jp/press/files/jp/106521.pdf