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環境省 中部電力が計画中の武豊石炭火力発電所事業の見直し要請へ。CO2増大の制御に疑念(各紙)

2017-07-26 18:59:47

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 各紙の報道によると、環境省は中部電力が愛知県武豊町で進めている大型石炭火力発電所の建設計画について、環境影響評価(環境アセスメント)法に基づき、二酸化炭素(CO2)排出削減の道筋がつかない場合は事業の再検討を求める意見書を出す方針を決めた。事業者の中部電力と事業を認可する経済産業相に対策を求める。

 

 同省の意見書は、山本公一環境相名で、8月1日にも世耕弘成経産相に提出するとしている。武豊火力発電所は総出力107万kW。1972年稼動の2~4号機の3機の火力発電所(重油・原油焚き)の老朽化に伴って、新たに1機で発電容量107万kWの大型の5号機を建設するリプレース計画。年間発電量約75億kWhで、CO2排出量は年間569万㌧と設定されていた。

 

 中部電力はCO2排出量を削減するため、今年2月、木質バイオマスの「ブラックペレット」の混焼発電型にすると公表した。混焼率は17%で、CO2排出量を石炭専焼よりも年間約90万㌧削減できると説明していた。http://rief-jp.org/ct4/68124

 

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 ただ、それでも排出削減量は2割弱にとどまる。また、LNGを使う場合よりも排出量が多いうえ、将来的に海外原料のブラックペレットを安定的に調達できるか、といった課題がある。環境省はこうした点を踏まえて、「CO2排出削減の道筋を描けるかどうか」との懸念を示しており、見通しが不十分な場合には事業実施の再検討などを求める厳しい考えを盛り込む見通しという。

 

 山本環境相は今月14日の会見でも、同発電所計画について「地球温暖化の観点からも極めて厳しいものがある」と話している。パリ協定の発効に伴い、各国でCO2排出量の多い石炭火力発電所の見直しが進んでいるが、日本は今年になって4基の新規石炭火力建設計画の中止が決まったが、進行中の計画は、今回の武豊火力を含めて、42基もある。

 

 経済産業省や電力業界が従来の電力需要を単純に将来に延長して、火力発電所の増設を計画しているためだが、エネルギー効率化の進展や再生可能エネルギー発電の経済性の向上などから、エネルギー需要は今後も増えそうもない。

 

 民間の自然エネルギー財団は「新増設計画がこのまま見直されずに進められた場合、石炭火力の設備利用率は、現状の80%から大きく低下し、2026年度には56%程度まで下がる可能性がある」と推計している。http://rief-jp.org/ct4/71440