一般社団法人環境金融研究機構 | Research Institute for Environmental Finance: RIEF

 　三菱商事は、英国北西部沖合に敷設する洋上風力発電所と、陸上の変電所を結ぶ海底送電設備の運営事業権を取得した。投資額は2億3400万㌦（約260 億円）と報じられている。同社が英国で海底送電資産の運営事業権を取得するのは今回で5件目。取得海底ケーブルの延長はドイツでの投資案件を含めると884kmに及ぶ。

　同社は2011年に初めて英国の洋上風力発電所と陸上を結ぶ海底送電事業に参入、これまでに英国で5件、ドイツで4件の事業を実施している。今回の投資対象は、英国北西部沖合約25kmの洋上に位置するバーボバンクエクステンション洋上風力発電所（発電容量25.8万kW）から北ウェールズ・デンビーシャー州ボデルウィダンに建設される変電所を結ぶ、海底・陸上送電線と付随する洋上・陸上変電設備。

 

　バーホバンクの洋上風力発電所はデンマークの風力大手のDong Energy（ドンエネルギー）が開発を進めている。年末から事業パートナーと共に20年間にわたって送電を担う予定。資産規模は1億8060万ポンド（約262億円）。

 同社は、2013年に欧州海底送電事業を担う統括会社として、英国に100%子会社のDiamond Transmission Corporation Limited（ダイアモンド・トランスミッション・コーポレーション社、DTC）を設立している。同社が投資する海底送電事業の総送電容量は約435万kWになる。海底ケーブルの総延長距離の884kmは、東京から福岡までの距離とほぼ同じ。

　欧州では、2030年までに約5,000万kWの洋上風力発電を稼働させる計画がある。大型の洋上風力発電は発電コストも急速に低下しており、送電系統の需要も増大するとみられている。このため同社では、今後も英国での海底送電資産をさらに増やすほか、欧州全域を対象として陸上送電線事業、国際連系線事業等にも進出する予定。その実績を日本でも活かしてもらいたい。