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太陽光・風力などの再生可能エネルギー発電設備を備えた船が試運転。福岡のエコマリンパワー社。「発電する帆」を甲板に設置。CO2削減、燃費節減、環境負荷低減を実現(RIEF)

2017-08-02 08:34:14

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   エコマリンパワー(EMP、福岡市)は久福汽船(広島県尾道市)と協力し、船に太陽光発電や風力発電を組み込む船舶用再生可能エネルギーソリューション「Aquarius MRE」を開発、海上試運転の準備を開始したと発表した。太陽光パネルを帆に組み込んだシステムを開発、船上で発電した電力を船の運航に利用し、環境負荷の低減を目指す。

 

 エコマリンが開発したAquariusMREの軸は「硬帆」。太陽光パネルや風力発電装置などの発電装置、センサーなどを取り付けることができる特殊な帆で、これを船の甲板上に複数設置し、発電する。同社は「Energy Sail」と命名している。硬帆は、コンピュータによる自動制御も可能。

 

 このシステムは、大型のケープサイズばら積み鉱石運搬船から、海軍や海上警備隊の巡視船まで、さまざまな船舶に搭載できる。船が停泊中や寄港時でも使用できる。製造は船舶用品製造の実績を持つ寺本鉄工所(尾道市)が行った。

 

 今回の試運転は、久福汽船が所有する船舶を利用、AquariusMREのシステムのほか、蓄電池、制御用コンピュータなどのほか、発電量を補完するため通常の平置き型の太陽光発電パネルも設置した。船で使うエネルギーをほとんどまかなうことができることから、使用燃料の削減や、環境負荷を低減できる。

 

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 エコマリンなどは現在、Belgrano船、Nord Gemini船、Bulk Chile船など数隻の大型ばら積み貨物船でフィージビリティスタディ(FS:実行可能性調査)も実施中で、今回の試運転のデータを合わせて、各船舶に設置可能な太陽光発電の総量を決めるなどの作業を続けるという。

 

 FS完了後、1隻の船を海上試運転フェーズ用として選び、およそ1年~1年半かけて、Aquarius MREの全要素を組み込んだ検証を行う予定。

 

 エコマリンの最高技術責任者、アトキンソン・グレッグは「久福汽船社の協力を得て、この重要プロジェクトを海上試運転の段階まで進める手助けをして頂けて大変感謝している。Aquarius MREは、船舶へ再生可能エネルギーを普及させる道を開くと信じている」とコメントしている。

 

 

 エコマリンパワー(EMP)は、福岡を拠点とし、国際性に焦点をあてたテクノロジー企業。旅客フェリーや調査船、オイルタンカー、貨物船などの船舶用 に、再生可能エネルギーを基にした燃料節約と排ガス低減ソリューションを開発している。最新の再生可能エネルギー技術を組み入れた持続可能シップコンセプトを開発し、AquariusエコシップやAquarius無人水上船(USV)などのデザインプロジェクトにも取り組んでいる。

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