HOME13 原発 |原子力規制委、原子力研究開発機構の「大洗センター被爆事故」を、INESレベル2に暫定評価。日本は過去20年でレベル2以上事故が5件も発生。群を抜く「原発事故」の多さ(RIEF) |

原子力規制委、原子力研究開発機構の「大洗センター被爆事故」を、INESレベル2に暫定評価。日本は過去20年でレベル2以上事故が5件も発生。群を抜く「原発事故」の多さ(RIEF)

2017-08-03 00:09:35

ooaraiキャプチャ

 

  原子力規制委員会は2日、日本原子力研究開発機構「大洗研究開発センター」(茨城県大洗町)で6月に起きた作業員5人内部被ばく事故について、国際評価尺度(INES)が8段階で示す事故の深刻度の上から6番目の「レベル2」(異常事象)と暫定評価した。日本では、この20年間でレベル2以上の事故は5件も起きたことになり、世界でも”異常に”原発事故の多い国といえる。

 

 今回の被ばく事故では、作業員の今後50年間の内部被ばく線量の推計は最も高いケースで、100ミリシーベルト以上200ミリシーベルト未満。使用済み核燃料を無許可で20年以上保管し、かつ内部のビニールバッグの異常動向を確認していながら安全管理を徹底できなかったなど、機構の安全管理の杜撰さが明るみに出た。

 

 規制委の田中俊一委員長は「作業員の安全確保は事業者の責任だ。機構は事故防止の体制を整えるべきだ」と述べ、作業員が放射性物質プルトニウムを吸い込む異常事態を厳しく判断した。

 

 これまで日本国内で起きた原発の事故としては、2011年の東京電力福島第一原発事故が最も深刻なレベル7に評価されたほか、同時に起きた東電福島第二原発もレベル2。1999年には東海村臨界事故がレベル4(事業所外への大きなリスクを伴わない事故)、北陸電力志賀1号機の一時的な臨界事故(2007年まで隠蔽)と、1991年の関西電力美浜原発2号機での蒸気発生器の細管破裂による緊急炉心冷却装置の作動事故がレベル2などとなっている。

 

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 1986年の旧ソ連のチェルノブイリ原発事故は、福島第一原発度同様にレベル7。1979年の米国のスリーマイル島原発事故はレベル5などとなっている。レベル0や、1のケースは他の国でも時々起きているが、さすがにレベル2以上は限られる。

 

 日本の原発事故が「異常」なのは、過去20年間でみると、レベル2以上が、すでに5件も起きているということだ。他の国では、この20年間に、レベル3が英国、ハンガリー、米国、レベル2がフランス、スペイン、スウェーデンで、それぞれ1件ずつ起きているだけだ。日本の原発事故の多さは、群を抜いているのだ。

 

 なぜ日本では原発事故がこんなに多いのか。その一つの理由と思われるのが、今回の機構の事故のように、管理体制が極めて杜撰で、安全意識が希薄としか思えない組織体制が続いている点だ。また、北陸電力などのように、事故情報を意識的に「隠す体質」も見逃せない。情報開示に対するおざなりな姿勢が顕著といえる。

 

 原発事業者の手抜かりばかりではない。監督する立場の政府が、過去の事故を教訓とした指導体制を十分に確立できていない点も指摘せざるを得ない。「安全第一」が官民とも口先だけで、このままでは福島事故も教訓とはならず、「次の事故」が起きるリスクを本気で懸念せざるを得ない。

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