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東京証券取引所、元経営者の相談役・顧問情報の任意開示求める。来年1月から。同様に官庁の元次官等の処遇と、民間企業への天下り顧問情報も開示を(RIEF)

2017-08-03 11:17:59

JPXキャプチャ

 

 東京証券取引所は、上場企業のコーポレートガバナンス報告書に、相談役や顧問の情報開示の規定を盛り込んだ。日本企業で頻発する不正会計・不祥事問題の背景に、相談役などの存在、意向が影響している疑念があるためとされる。ただ、同様の問題は、企業だけでなく官庁にもある。官庁の場合、前次官らが顧問、参与等の名で役所に居残るほか、企業に顧問等で天下っており、これらについても、国民に情報開示する必要がある。

 

 

 企業の相談役・顧問の状況の情報開示については、経済産業省が3月に「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGSガイドライン)」 を策定、社長・CEO経験者で相談役・顧問に就任している人の人数、役割、処遇等について外部に自主的に情報発信することを提言している。また政府の「未来投資戦略2017」では、すでに東証が今夏から制度を創設することを盛り込んでいる。実施は来年1月から。

 


 東証によると、相談役・顧問に関する情報開示は任意。記載内容は、相談役・顧問に就任している人の名前、役職・地位、業務内容、勤務形態・条件(常勤か非常勤か、報酬の有無など)、相談役・顧問としての任期、合計人数などを対象としている。

 

 また、「その他の事項」として、 相談役・顧問制度の存廃(「すでに廃止済み」あるいは「制度はあるが現在は対象者がいない」など)、 相談役・顧問等に関する社内規程の制定改廃、任命時の取締役会 や指名・報酬委員会の関与の有無 、 相談役・顧問等の報酬総額 なども記載対象としている。

 

 対象となる元代表取締役社長等は、元代表取締役社長の他、元CEO(最高経営責任者) や元代表執行役社長を含む。 こうした人たちが、社内で経営に関わっている場合は、その内容も 記載し、社外 活動(公職等)に会社を代表する形で加わっている場合は、その内容も記載する、など。

 

 日本の上場企業では、最近の不正会計問題が発覚した東芝においては、社長、会長の経験者が相談役として社内で「院政」を敷き、トップ人事に関与するほか、経営についても影響を与えてきたと指摘されている。同社以外にもシャープ、オリンパス、東京電力なども、同様の構造的問題が浮き彫りにされた。

 

 情報開示は任意だが、東証は「(任意であっても)開示しなければ、企業はなぜ書かないのか株主総会で質問を受ける」と説明。企業への情報開示圧力になるとみている。

 

 同様の組織構造があるのは、中央官庁だ。CGSガイドラインをまとめた経産省をはじめ、大半の官庁が前次官等の上級職を終えた元官僚を、顧問、参与などの名称で、省内にとどめる事例が多い。官庁の場合、民間や外郭団体への天下りまでの間の「腰掛け」的色彩もあるが、役所はこうした人たちに、部屋や車の提供、秘書業務なども官庁予算で提供している。

 

 官庁の「顧問・参与」らは、民間企業の相談役・顧問等に天下りするケースが多い。そう考えると、企業は元経営者の相談役・顧問情報に加えて、天下り官僚の顧問等の情報についても開示すべきだろう。少なくとも、投資家はそうした情報を株主総会で開示要請すべきだ。

 

http://www.jpx.co.jp/news/1020/20170802-01.html