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静岡市長がJXTGエネルギーが市内で計画するLNG火力発電所計画の見直しを要請。「街づくりとそぐわない」。県知事とも足並みをそろえる。計画見直し必至に(各紙)

2017-08-08 23:27:51

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 各紙の報道によると、田辺信宏静岡市長は8日の定例記者会見で、静岡市清水区で計画される液化天然ガス(LNG)火力発電所について、市の街づくりの方針にそぐわないとして事業者のJXTGエネルギー(旧東燃ゼネラル石油)に計画の見直しを求める方針を明らかにした。同計画には市民団体や川勝平太静岡県知事も環境や景観への影響を重視し反対の姿勢。県知事、市長がそろって反対することで、計画の全面見直しが必至となった。

 

 報道によると、同計画は、4月に経営統合したJXTGの東燃ゼネラル石油とJXグループのうち、東燃ゼネラルが2015年1月に建設計画を発表した事業。当初は発電容量最大200万kWを予定していた。その後、地元の反対などから2度の計画変更を経て、現在は60万kW級と50万kW級の各1基を建設する計画になっている。環境アセスメントを経て、地元の了承を得れば、2018年に着工、2022年に稼働の予定。

 

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  しかし、田辺市長は「市は清水都心で国際海洋文化都市に向け、ウオーターフロントのまちづくりを進めている。商業エリアと一体となり、人が集まる地域にしていく」と強調、JXTGのLNG火力発電所計画は、「市の街づくりにふさわしくないとの懸念がある」と述べた。

 

 JXTGは市や地元に提出する環境影響評価準備書を作成中だが、地元との調整が難航し、作成作業が遅れている。田辺市長は、市民らの反対の声が強いことから、準備書を受け付ける前に、受け入れ拒否の姿勢を固めたとみられる。LNG火力発電は、JR清水駅から約400mの市街地が建設予定地で、市が計画する市役所の清水庁舎建設予定地にも近いなど、市の街づくりを「無視」する形で計画が進んできたことも、地元の反発理由になったとみられる。

 

 LNG発電所は石炭火力よりもCO2排出量等が少ない。だが、窒素酸化物(NOx)などの排出があるほか、東海地方で、将来、予想される南海トラフ地震や津波時の影響が想定される中で、市の中心街に大規模な発電所を設置することの安全性への懸念なども、住民らの懸念の要因になったとみられる。

 

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 また市長が説明したように、同市は港湾沿いにフェリーターミナルの整備構想を持ち、「国際海洋文化都市構想」を目指している。そうした構想とも大規模なLNG発電所は似つかわしくない、とされる。

 

 今回の問題は、都市の運営が住民の生活尊重と、街の魅力づくりを重視する方向にシフトしている中で、旧来の集中型エネルギー設備を需要地の最近接地に建設しようとするエネルギー企業の経営戦略との齟齬が顕在化したともいえる。

 

 今年5月には、市民グループ6団体からなる「清水LNG火力発電所問題・連絡会」(富田英司代表)が、川勝知事と田辺市長に建設反対の意思表示を求める要望書を提出していた。発電所建設の許認可権は国にあるが、住民、県、市がそろって反対姿勢で連携すると、事実上、建設計画は見直しせざるを得ないとみられる。

http://www.city.shizuoka.jp/index.html
 
 http://www.at-s.com/news/article/politics/shizuoka/389164.html