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木質バイオマス発電で、「タールフリー」の発電技術開発。信州大学の水口仁特任教授ら。「半導体の熱活性」技術を応用(各紙)

2017-08-09 23:14:06

mizuguchiキャプチャ

 

 各紙の報道によると、信州大学繊維学部の水口仁特任教授らは、木材を燃料にして発電するバイオマス発電所向けに、ポリマーを小分子化する「半導体の熱活性」技術を応用して、タールを一切発生させないガス化システムを開発した、と公表した。バイオマス発電では、タールの発生が発電効率化の課題となっている。今後、実用化を目指すとしている。

 

 水口教授らは今月末に東京ビッグサイトで開く「イノベーションジャパン2017」で発表する。バイオマス発電の課題は、木質バイオマスをガス化する際に、発電機内でタールが発生し、発電に支障を来すことである。

 

 水口教授らは、半導体を加熱すると出現する「半導体の熱活性」を活用する。まず、バイオマスの成分のうち、タールの原因となるリグニンを植物ポリマーとしてとらえて、都市ガスの成分のレベルまで小分子化する。分子は空気中の酸素と反応して水と二酸化炭素に完全分解される。この過程を半導体の熱活性技術(TASC法)として特許登録している。

 

mizuguchi1キャプチャ

 

 TASC法に使用できる半導体は、基本的に高温、酸素下で安定なものであればいいが、水口教授らは、木材チップの表面に赤さび成分の酸化鉄を塗って加熱することで、プロパンなどのガスを取り出す。加熱した酸化鉄は木材を構成する有機物を細かくする性質が非常に高い。バラバラになった有機物はガスに変わる。

 

 実験では酸化鉄を混ぜた液体に木材を浸してから、セ氏350~500度で10分ほど加熱すると、木材がわずかに含むミネラル分と酸化鉄が残っただけで、有機物はほぼすべてガスになった。バイオマスのタール・フリーのガス化だけでなく、通常の廃ポリマーからも同様な手法で可燃ガスを取り出すことが出来るほか、工場等で発生するタールを含む排ガスの浄化にも使用できるという。今後はこの技術の実用化に取り組む。

https://www.ij2017.com/exhibitor/jss20170089.html

http://jintech.org/?page_id=57