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中部電力武豊火力発電所新設計画、経産省も計画見直しを勧告。規模縮小、燃料転換など選択肢に(RIEF)

2017-08-19 13:19:53

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 中部電力が愛知県で計画している武豊石炭火力発電所の新設事業について、環境アセスメント法に基づき環境省が事業計画の見直し意見を表明したことを受け、所管する経済産業省も18日、中部電にCO2排出削減の取り組みを求める勧告を出した。この結果、中部電力は同計画の抜本的な削減策を講じることができなければ、計画の撤回を含めた決断を迫られる。

 

 経産省の勧告は「(中部電力が)所有する低効率の火力発電所の休廃止・稼働抑制など、2030年以降に向けてさらなるCO2の排出削減を実現する見通しをもって計画的に実施する」という内容。

 

 これを受けて中部電は同日、「勧告内容を踏まえて環境影響評価書を作成し、経産相に届出を行う予定。今後も地元などの関係者に事業計画についての理解をいただきながら、計画通り2022年3月に運転開始できるよう手続きを進めたい」とのコメントを発表した。

 

 武豊火力発電所は総出力107万kW。1972年稼動の2~4号機の3機の火力発電所(重油・原油焚き)の老朽化に伴って、新たに1機で発電容量107万kWの大型の5号機を建設するリプレース計画。年間発電量約75億kWhで、CO2排出量は年間569万㌧と設定されていた。

 

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 中部電の大型石炭火力の新設を巡っては、山本公一前環境相が8月1日に、環境アセスメントの手続きに沿って意見表明した。http://www.env.go.jp/press/104378.html

 

 環境省に意見によると、①日本の 石炭火力からのCO2排出量は2015 年度時点で、パリ協定に基づき2030 年度に達成が必要な値をすでに上回っている②パリ協定の目標達成のために削減の道筋を明確にする必要がある③同発電所はバイオマス混焼をしても、CO2排出量は現状より年間約200万㌧増えるーーなどと指摘、計画の見直しを求めている。

 

 経産省の勧告は、この環境省の意見を尊重した形だが、本来は、電力事業を所管する経産省が中部電力の計画段階で、適切なCO2削減を指導するべきだった。

 

 中部電力は今年2月、地元の反対などを受けて、計画よりもCO2排出量を削減するため、木質バイオマスの「ブラックペレット」の混焼発電型にする変更を加えた。混焼率は17%で、CO2排出量を石炭専焼よりも年間約90万㌧削減できると説明していた。http://rief-jp.org/ct4/68124

 

 しかし、環境省の意見にもあるように、バイオマス混焼による削減量を加味しても、全体計画では現状よりCO2排出量は増加することから、「小手先の修正」と批判されていた。

 

 ただ、中部電力のこの日のコメントでは、あくまでも予定通りの2022年の開業を目指すと宣言している。このため今後、可能な対策として①同社の他の発電所の閉鎖等で社全体の排出量を調整する②追加的なCO2削減のためにバイオマス混焼率をさらに高める③天然ガス発電に切り替える④発電規模を小型化する、などの選択が焦点になるとみられる。

 

https://www.chuden.co.jp/corporate/publicity/pub_oshirase/topics/3265293_21498.html