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環境省独自の「グリーンボンドガイドライン」モデル事業 東京都は応募せず。「二流ボンド」の評価を嫌ったか。応募数は極めて少なく、秋にも再募集へ(RIEF)

2017-08-25 13:00:10

MOEキャプチャ

 

 環境省が応募していた「環境省版グリーンボンドガイドライン」の利用を前提とした補助金交付モデル事業への応募が、極めて少数しかなかったことがわかった。当初、有力視されていた東京都も応募を見送った。

 

 環境省は3月に独自に「グリーンボンドガイドライン」を制定。その普及のために国内でグリーンボンドを発行する事業者に向け、モデル事業として補助金を交付する公募を7月21日~8月14日の間、実施した。グリーンボンドの発行費用を国費で支援するというものだ。http://rief-jp.org/ct4/71493

 

 当初、モデル候補として有力視されていたのが東京都。都は、環境省がガイドラインを作成するために主催した検討会に職員を委員として派遣したほか、小池百合子東京都知事が200億円のグリーンボンドの年内発行を宣言している。このため、「東京都を前提としたモデル事業」との見方もあった。

 

 しかし、環境省ガイドラインは、国際的基準であるグリーンボンド原則(GBP)より緩く、準拠してボンドを発行しても「二流のグリーンボンド」の評価を市場から受ける懸念がある。国際金融都市を目指す東京都としては、海外の投資家に見向きされないボンドの発行では「汚点」になると、判断したとみられる。

 

 都自体は、年内にグリーンボンドを発行する姿勢は変えておらず、発行に際してはGBPへの準拠を前提にし、第三者の客観評価も得る方針という。

 

 環境省のモデル事業は、「本命」の東京都に「逃げられた」だけではない。他の発行体からの応募数も極めて限られていた模様で、「(応募は)ゼロではない」(関係者)という状況。ガイドラインそのものの信頼性が不十分なうえ、応募条件で今年度中の発行を前提にするなど、市場の動向を踏まえて発行を判断する発行体の実情を無視した条件設定も影響したとみられる。

 

 それでも、環境省は今年度予算を確保していることから、「追加募集」を秋にも行う方針という。また、来年度以降も補助金額を増やして、発行希望者を募ることも検討しているようだ。だが、市場が敬遠するガイドラインの利用を、補助金をエサに無理やり推進することが、果たしてグリーンボンド市場の育成につながるのか、という疑念はむしろ高まっている。

 

 環境省は公益団体や地方自治体によるガイドライン利用を促す方針のようだが、国費を地方自治体や政府の外郭団体のボンド発行に支給することは、本来の補助金の趣旨に合うのかも疑問だ。公共機関の間で税金をキャッチボールする構図にも映る。そうまでして、同省が自前のガイドラインの利用実績を高めねばならない理由は何だろうか。

http://www.env.go.jp/press/104255.html