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米韓の研究チーム、「発電する糸(ツイストロン)」を開発。伸ばしたり、ねじると発電。電池不用で身に着けるウエアラブル機器等の電源に(各紙)

2017-08-26 22:52:18

 

  米国と韓国の研究者らが、「発電する糸」を開発した。この糸は「ツイストロン(twistron)と名付けられた素材で作られ、伸ばしたりねじったりすることで発電するという。「糸」を開発したとの研究結果が、米科学誌「Science」に発表された。シャツなどに織り込んで、ウエアラブル(装着)型機器の電源などに活用できるという。

 

 韓国の漢陽大学や米テキサス大学ダラス等のバイオ医学、ナノチューブ等の研究者グループが開発した。論文によると、糸はカーボンナノチューブ(筒状炭素分子)で構成されているという。カーボンナノチューブは炭素でできた中空の管で、直径は人の毛髪の1万分の1程度の細い繊維状のもの。

 

 電気を発生させるには、このナノチューブの糸をイオン伝導性の溶液(電解液)に浸すか、コーティングした後、伸ばしたり、ねじったりする機械的運動を加えればよい。電解液は、普通の食卓塩と水の混合液のような簡単なもので十分。外部電池や外部電圧は一切必要ない。

 

twistron2キャプチャ

 

 糸なのでシャツや服に織り込むことができる。これらのシャツを動かせば発電するため、体に身に着ける機器の電源や、蓄電池では漏電の恐れのある水中でも発電可能。コイル状にして、ロープに巻き付けて海中に流せば、潮流によってロープが揺れる度に、発電できることから、海中での観測機器や海の安全を確保するブイなどにも使える。

 

 論文によると、屋内実験では、イエバエの体重にも満たない量のツイストロンで、小型のLEDを点灯できたという。糸を引き伸ばす度に、LEDは点滅した。また別の実験では、ツイストロン糸をシャツに縫い込み、人体の呼吸モニターとして機能させた。

 

 基本的に大規模発電向きではなく、発電量は弱いが連続的に電源が必要な装置等の使用に向いている。コイル化などで糸を集合させて生地のようにした場合、電気エネルギーを1kg当たり41.2ジュール発生させると同時に、1kg当たり250Wを発電できたという。

 

 研究チームの一人、テキサス大ダラス校のナノテク研究所研究員のリ・ナ(Na Li)氏は「ツイスト論は電池交換が不要なので、分布型センサーの配列など、『モノのインターネット(IoT)』に電力を供給する機能を発揮できる」と指摘している。

8/these-tangled-carbon-nanotubes-can-harvest-energy-directly-breathing-and-ocean-waves