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黒潮海流での「100kW級」の海流発電の実証試験、完了。曳航試験で100kW、実際の黒潮海域で30kWの発電に成功。IHIとNEDO。2020年の実用化目指す(RIEF)

2017-08-27 18:44:46

IHI1キャプチャ

 

  重工業メーカーのIHIは、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と共同で、この夏、黒潮海流域で実施した「100kw級」の海流発電の実証実験を完了した。船による曳航実験で、100kwの発電に成功したほか、実際の黒潮海流でも30kWの発電を得るなど、大きな成果をあげたとしている。

 実証実験は、鹿児島県のトカラ列島の一つ、口之島沖の黒潮海域で行われた。100kW規模の海流発電としては世界初となる水中浮遊式海流発電システムの実証実験機の「かいりゅう」を使って行った。http://rief-jp.org/ct4/71160

 

 まず、7月25日から7日間,鹿児島県南さつま市の野間岬沖の甑(こしき)海峡で、船舶で「かいりゅう」を曳航、黒潮に模した水流を発生させて海中での挙動を確認する曳航試験を実施した。その際、定格流速1.5m/秒で100kWの発電出力を得た。

 

IHI2キャプチャ

 

 次いで、8月12日からの7日間は、国が設定する口之島沖の海洋再生可能エネルギー実証フィールドでの実証試験に移行した。水深約100mの黒潮海域で「かいりゅう」を水中30~50mの位置で浮遊するように固定、水中姿勢を安定させる自律制御システムの性能確認や設置および撤去工事の方法等を確認した。

 

 「かいりゅう」は自律制御システムによって姿勢や深度を制御しながら、最大30kWの発電出力を確認できたという。

 

右の海面下30~50mに浮遊するのが実験機の「かいりゅう」
右の海面下30~50mに浮遊するのが実験機の「かいりゅう」


 IHIとNEDOは、 今回の実証試験で、「かいりゅう」が想定どおりの性能を発揮することを確認できたほか、発電性能だけでなく、海流特性や設置・撤去工事手法の精査等、今後の実用化に向けて必要な実海域での試験データを取得した、としている。IHIはこの水中浮遊式海流発電システムを2020年以降に実用化することを目指している。

 海流発電は1年を通して天候や時間帯に左右されずに安定した電気を供給できる自然エネルギーとして期待されている。黒潮は世界有数の強い海流で、海流発電に適している。

 

 実験に使われた実証機の「かいりゅう」は、50kWの発電機を2基備え、定格出力は約100kW。タービンの直径は約11m、全体の長さ約20m、幅約20mの構造物。定格流速は1.5m/秒(3ノット)で、浮遊深度は約30m~50mを想定している。

 https://www.ihi.co.jp/ihi/all_news/2017/technology/2017-8-25/index.html