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英国、2040年のガソリン車・ディーゼル車販売停止・ZEV優遇策、10年前倒しすると、石油輸入量は半減。投資・雇用効果も大きい。環境シンクタンク等がレポートで指摘(RIEF)

2017-08-30 16:31:39

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 英国は先に、2040 年までにガソリン車やディーゼル車の販売規制と、電気自動車などゼロエミッション車(ZEV)優遇措置を打ち出した。環境保護団体などは、同規制を歓迎するとともに、さらに前倒しして2030年までにZEV化を進めると、英国の石油輸入量は2035年には現状より51%減と、半減するとのレポートをまとめた。

 

 レポートは、英国の非営利環境シンクタンクのGreen Allianceが、Green peace やWWFなどの環境NGOらと共同で分析、まとめた。英国政府はZEV化推進のための新たな「クリーン成長計画」を近く発表する予定で、それを先取りする形で公表された。

 

 英国のZEV化計画は、先月末に報道された。国内で走行するディーゼル車、ガソリン車の販売を2040年までに禁じるとともに、ZEV車の販売を優遇する方針だ。フランスやオランダなども同様のエコカーへの切り替え策を掲げている。http://rief-jp.org/ct4/71545

 

 Green Allianceなどは、こうした政府の施策は、大気の改善と、気候変動対策につながるとして歓迎している。しかし、さらに計画を前倒しして、2030年にZEV化を実現すると、石油輸入量が半減するほか、CO2以外の窒素酸化物や都市部での微粒子排出量も激減する。

 

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 また経済刺激効果も大きい。電気自動車用の電気チャージング・ポイントのインフラ投資は2030年までに180億ポンド(約2兆5000億円)見込めるとしている。英国はチャージング・ポイントの建設が遅れており、ノルウェーに比べると人口当たりで10分の1でしかない。

 

 英国では全エネルギー消費の40%が運輸部門で生じている。そのうち、交通部門が4分の3を占めており、自動車のエネルギー消費率、およびCO2排出量の影響は大きい。その分、ZEV化の効果は、エネルギー消費、CO2削減、他の大気汚染源減少、追加設備投資刺激などのプラス面の増大につながるとしている。

 

 さらにレポートでは、自動車のゼロエミッション化だけでなく、住宅のゼロ・カーボン化のために、新築住宅へのゼロカーボン規準の導入と既築住宅へのエネルギー効率化改善のために、2020年から2025年にかけて、追加的な政府支出を供給するよう求めている。

 

 調査作業に加わったWWFのGareth Redmond-King氏は「英国は政府が計画する2040年目標をもっと前に達成すべきだ。それによって、クリーンで先進的な自動車製造の雇用と投資が生まれる。そのチャンスを見逃すべきではない。運輸部門と過程部門のクリーン化は政府が最優先課題として取り組む必要がある」と強調している。

 

 同じくチームに加わった Christian AidのLaura Taylor氏も「クリーン化によって空気汚染による人々の健康阻害が減少し、健康保険コストの低下も見込める。国民にとって得るところは膨大だ。政府は低炭素社会への移行をさらにスピードアップすべきだ」と指摘している。

 

http://www.green-alliance.org.uk/UK_needs_clean_growth_plan_now.php